2024年11月22日( 金 )

今後も「社員を大事にする気持ち」を大切に(前)

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シーエススチール(株)
代表取締役社長 松原 庸仁 氏

 シーエススチール(株)は、今年で設立30周年を迎えた鋼材加工メーカー。4月1日に開催された「経営計画発表会・創立記念祝賀会」のなかで執り行われた社長交代式で、創業者の松原照明氏からバトンを受け継いだ松原庸仁氏に、社長就任の思いとともに今後の目標を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

4月1日に社長就任「勉強の日々」

シーエススチール(株) 代表取締役社長 松原 庸仁 氏
シーエススチール(株)
代表取締役社長 松原 庸仁 氏

 ──4月に社長に就任されて2カ月(インタビューは6月2日)。まずは、これまでを振り返っての感想をお聞かせください。

 松原庸仁氏(以下、松原) 大学を卒業してからの11年間は、地場の大手ホームセンターに勤務していました。シーエススチール(株)に入社したのは2017年で、社長に就任するまでに営業部長、統括本部長などを歴任してきました。正直なところ、仕事の内容自体は統括本部長時代と大きく変わるところはありません。それでは何が変わったかと言いますと、責任と周囲の目でしょうか。

 私は当社に戻ってきてからは営業畑一筋で、財務などの知識はまだまだなので日々、勉強中です。今は代表取締役である父(松原照明氏)からもさまざまなアドバイスをもらっています。

 ──当初から会社を継がれるつもりだったのでしょうか。

 松原 当時はあまり深く考えていませんでした。大学卒業後に就職した会社に骨をうずめる気持ちでいたんです。しかし、私は長男ですし、両親への感謝の気持ちもあって、11年間勤めた会社を退職してシーエススチールに入社したのです。

 ──社長に就任されてから、ますます貴社の掲げる「企業理念」を意識するようになったのでは?

 松原 たしかに社長就任前から、朝礼などで企業理念を毎日のように読んでいたものの、あまり実感が湧いていなかったのは事実です。でも、社長という立場になって改めて当社の企業理念である「共尊共育 わたしたちは人間尊重の精神で、共に成長することを経営の基本と考えます」を眺めてみると、これまでとは違う捉え方ができるようになりました。私はまだまだ若輩者で、まだ自分のなかに確固とした軸というものがありません。だから、社長に就任後、いくつかの困難な課題に直面したときに、頼りになるのが、この経営理念だと再認識させられました。

 ──貴社には企業理念とは別に、「シーエススチール私たちの誓い11カ条」というものがありますね。

 松原 前述の経営理念は設立当初からありましたが、以前は社員の間で、なかなか理解が広がらず、なじみ切れない時期がありました。そこで、社員同士で共通の価値観を共有するために「シーエススチール私たちの誓い11カ条」を作成しました。経営理念とリンクさせるようにして、今後も守っていくべき大切なものだと考えています。

浮かび上がった「4つの課題」

 ──社長に就任されてから取り組まれたことは何でしょう。

 松原 社員に会社の現状の課題をそれぞれ紙に書き出してもらったところ、全部で122枚の意見が出ました。それを黒板に貼りつけて、分類したところ、大きく4つの課題が浮かび上がってきました。その課題とは「知識の共有」「役割の共有」「育成方法の確立」「リモートワークの推進」です。

 これらの課題解決のために委員会を立ち上げ、営業支援ということで、DX化に取り組んでいます。まずはペーパーレス化と社内チャットを開発しました。これにより目に見えて印刷代、電話代が削減されましたし、作業効率も大幅に向上しました。当初は少なからず反対意見も出ましたが、やってよかったと感じています。

 当社はいわゆる「属人的」な組織と言ってもよく、ある分野の知識を有する社員が退社してしまったら、その分野の知識については、何も残らないというのが長年の課題でした。そこで、たとえ人が辞めたとしても会社が回っていく仕組みづくりのために、各社員が持つ情報をすべてスプレッドシートに入力する取り組みを始めました。これによって、やみくもに営業するのではなく、「この会社はここが伸びているから、こういうやり方で行きましょう」といった戦略の立案がしやすくなりました。入力には1件あたり40分程度かかるのですが、休日に自分の分の営業情報23件をすべて入力し終えたところです。

 ──貴社は02年にISO14001を取得し、現在まで活動を続けています。どういった活動を行っているのでしょうか。

 松原 社内に「環境委員会」を設置し、部門長の下で、紙類、電気、水、ごみなどの月の使用量の目標を定め、各担当者が記録。目標をオーバーした場合、原因について話し合って、共有することで全社員の環境意識を高める努力をしています。コピー用紙を再利用するなどの取り組みを続けてきた結果、02年の取り組み開始からこれまでで樹木165本分の古紙回収を行っています。会社全体で環境問題に取り組むことが経費削減にもつながりましたし、環境問題に対する意識向上にも寄与しています。

(つづく)

【文・構成:新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:松原 庸仁ほか1名
所在地:福岡県糟屋郡須恵町大字植木157-2
設 立:1992年4月
資本金:2,500万円
売上高:(22/3)3億7,000万円
URL:https://www.cs-steel.com/


<プロフィール>
松原 庸仁
(まつばら・つねひと)
2006年九州産業大学卒業後、大手ホームセンターに入社。17年シーエススチール(株)に入社後、営業部長、統括本部長を経て、22年4月代表取締役社長に就任。

(中)

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