最終ゴールの戦略確定の差
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店舗にこなくてよいとの通告
西日本フィナンシャルグループ(FG)の発表によると、支店行内のカウンターでの入出金サービスを2024年までにストップするとのこと。キャッシュコーナーを利用してほしいという要請である。予測はしていたが、「ついにここまで追い込まれてしまった」という悲哀感を抱いてしまった。この結果、女性アシスタント行員の数が大幅に減らされる。「銀行総員の3分の1までリストラできるな。それで解決できるはずもない。儲けるための仕組がなくてどうするのか」と銀行OBは断じる。
要は、融資貸出ビジネスを超えるものを構築できないと、問題の本質の解決にならないという意味である。「店舗にはこなくてよい」という通告である。地方では、地方銀行は女性にとって憧れの職場であった。もちろん給料も別格。出産で一時退職しても、再雇用の可能性もあった。この職場が抹殺されるのである。これでは地域からの尊敬の念を喪失してしまう。新卒者も高級取りの憧れの職場という概念を抱かなくなってしまう。
新聞業界も同様のリストラ戦略
新聞業界のトップと目されていた朝日新聞の22年3月期は、表面上の決算は黒字の装いであるが、新聞事業の黒字化は到底無理である。
西日本新聞社も関連会社の統合などにより、躍起になって経費を削減している。不動産収入などで辻褄合わせのテクニックを先行した内容である。本業の新聞購読数はガタ減りで、歯止めがかからない。新聞社の現役社員が嘆く。「収益モデルを本業で見いださないと、いつかは潰れてしまう」と投げやりな発言だ。
IT金融事業への挑戦
ふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG)は吠えた。「グループの全力を挙げてIT金融会社を真っ黒にする。期間のメドは25年度だ」と。要するに、新しい金融機関を立ち上げるという戦略を宣言したのに等しい。最終戦略のゴールを明確にしたのだ。
まず驚くのは、出資額の大きさである。ふくおかFGでは子会社の銀行が大きい順に、福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行と並ぶ。それに続くのが、期待されているみんなの銀行である。資本金の額が38億円になる。このみんなの銀行に必勝させることに、並々ならぬ決意を燃やしていることは間違いない。
従来の融資貸出方式では未来がないと、ふくおかFGの経営陣は見切っている。だから、「どうしてもIT金融をつくるしかない」と断言する。仮に1期で赤字が10億円噴出しても動揺することはない。「そのくらいの赤字がどうした」と意に介さない。ふくおかFGにはそのくらいの償却をできる余裕がある。また成功する確信を共有している。だから強い。
時代にマッチした金融の業態変革にまっしぐら。戦略の最終ゴールのテープを切ったならば、人員削減はほぼ達成できる。いや、そのレベルを越えて人材有効活用の舵を取るかもしれない。そうなれば組織の水準は一歩二歩前進する。また、組織への忠誠心が飛躍的に高まるであろう。
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