【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(4)】単著書・単著論文のあきれた実態(その1)――同名単著書2タイトル各5本ずつの怪
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「部下の業績はわが業績?――「ギフトオーサーシップ」疑惑」で表で示したとおり、朔学長が福大HPで公表している自身の研究業績リスト(2022年6月20日閲覧)を数えると、単著書・論文として提示されているものは328本である。そして、これらについても共著書・論文と同様、明らかな重複リストアップもしくはそれが疑われるものが散見された。もはや逐一挙げることは控えるが、ここではとりわけ不可解な2タイトルを報告したい。
下の画像をご覧いただきたい、これは福大が公開している朔学長の研究業績リスト(業績種類別)の冒頭である。2017年の『循環器疾患の疫学、危険因子』『循環器診断学総論』『心不全』の3「著書」がかれの近著であり、うち後者2本が単著であることが示されている。つまり、朔学長は「2017年3月」のひと月に3本の「著書」を上梓したというわけである。
だが、自らの学長就任によって福大が東大、京大と同じ「一流大学」のカテゴリーに高められたと公言するほどの医学者・朔啓二郎教授の近著2作というのに、出版社も記されていないのは不可解である。そこで『循環器診断学総論』『心不全』をその通りの書名および「朔啓二郎」の著者名で複数の学術書検索エンジンにかけたところ、どこも「該当する書誌はない」とハネられる。学長を務める福大の図書館にすら入っていない。各々のリンクをクリックして詳細を確かめるも、やはり「書名」がそれであるとのことであるし、何らか別の書名の出版物の一部(1章とか1セクションとか)であることを示すような注記もない。
(2番「著書」)
(3番「著書」)
さらに不可解なのは、下に画像で示す通り、この2番・3番と同名の「著書」が2016年にも2015年にも、さらには2014年にもリストアップされていることだ。朔学長は4年間にわたり、毎年同じタイトルの著作を2本ずつ上梓したというのだろうか。
困惑したわれわれは、またもや国立研究開発法人・科学技術振興機構の「研究者情報」に助けを求めた。たしかに朔氏の「書籍等出版物」として『循環器診断学総論』と『心不全』のタイトルが見える。ところが、ここでは『循環器診断学総論』については「2017年3月1日」の発表とされたものが2回と、「2014年」とのみ記されたものが2回の合計4回、『心不全』に関しては「2017年3月1日」「2015年」「2014年」と記載のあるものが1回ずつの合計3回、各々リストアップされている。つまり、福大HPのリストにある2016年および2015年の『循環器診断学総論』と2016年の『心不全』がないのだ。「朔啓二郎」という一人の研究者の業績表であるのに、それを公表する媒体によって業績情報が違うとは一体どういうわけなのだろう。
それでも気を取り直して各項目の詳細情報をクリックしたところ、驚くべき記述が目に飛び込んできた。「2017年3月1日」付の『循環器診断学総論』は「担当ページ 1-5」、同年同日付の『心不全』には「担当ページ 101-110」とある。「2014年」の『循環器診断学総論』も「担当ページ 1-5」、「2015年」および「2014年」の『心不全』もともに「担当ページ 101-110」とあった。このことは、福大リスト上では朔学長が2014年から2017年にかけて毎年上梓してきた個別の著書のように提示していた4本の『循環器診断学総論』と4本の『心不全』は、各々何らかの刊行物の一部(それもわずか数ページの)であり、かつ同一の論考である可能性を示唆している。
そのうえ、福大公表の業績リストに戻ってみると、なんと「著書」カテゴリーの先の「論文」カテゴリー中、42番論文および43番論文として、またもや「循環器診断学総論」と「心不全」のタイトルが!それも共に、「ギフトオーサーシップ」かつ重複リストアップの疑いがあるとしてたびたび言及したくだんの教科書、『医学生のための循環器内科学テキスト 第5版』(2018年4月)に収録された論文として。
何度も繰り返すように、出版社も記されず蔵書検索にもヒットしない以上われわれには現物で確認するすべもなく、したがって朔学長の「循環器診断学総論」5本と「心不全」5本の怪はここで迷宮入りとなった。だが、そもそもこんな不可解極まりない業績リストに、いったい何の存在意義があるというのか。むしろ、これは「数」の多さそれ自体を誇示するためのもので、第三者が容易に現物に当たることができないようにしてあるのではと、そんな猜疑心すらリスト閲覧者に抱かせる。これは研究者としての朔学長に対する信用のみならず、福岡大学の研究機関としての信用をも貶めるものではないだろうか。
だが、これらはまだ学術論文の気配がするだけマシである。かれが自身の単著「論文」として挙げてあるものには、素人目にもこれを果たして「論文」に含めていいのかと思わせるものが大量にあった。
(つづく)
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