2024年11月26日( 火 )

米国につき従ってどこへ行こうというのか(後)

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日米中関係 イメージ    「我々はどの国とも軍事同盟を結ばず、すべての大国を尊重したい」と語り、中国との関係について、「違いはあっても、友好的で相互に恩恵のある方法で解決するのがアジアのやり方だ」と述べたインドネシアのプラボウォ国防相の主張にこそ、我々が耳を傾ける価値があるというべきである。さらに、米国と平仄を合わせ、ウクライナ情勢を台湾有事に結び付けることも、日本と中国との国交正常化に遡る原則をいま一度復習する必要に迫られる、国家を与る政治家としては見識と節度を失った作為と言わざるをえない。

 今回の会議を「米中の激しい応酬と、その間で戸惑うアジア太平洋地域の国々の立ち位置が浮き彫りになり、分断する世界の現状を映す3日間となった」と総括したメディアがあった。バイデン大統領の強力な支持を強調すること1つとっても、その分断の尖兵として、米国の指嗾の下に動く日本という姿を参加各国に一層強く刻み付けたということである。

 今回の「会議」に先立って、新華社の「時評」「論評」が相次いで日本に対する厳しい批判の矢を放った。1つは「米国の『先兵』に甘んじる日本は実に悲しむべき」(東京6月6日発新華社=中国通信)であり、もう1つは「米国の後にぴったりついて反中国秘かに悪心を抱く日本」(北京6月7日発新華社=中国通信)である。この見出しにすべてが語ら
れている。外から見れば日本の姿がどう映るのか、中国の言い分すべてを是とするかどうかは別に、日本の現在の姿、立ち居振る舞いを端的に物語っていることは間違いない。実に情けないと思わざるをえない。政治家の劣化を痛感すると同時に、一体我々の誇りとは何であるのかを痛切に考えさせられる。よって、冒頭の『環球時報』がいう「十字路にある日本の対中政策」という言説が身に沁みるのである。

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 日中関係は21世紀の新たな国際秩序の重要な「構成要因」(モメント)となるべきことを、我々はどこまで深く、重く、認識できているであろうか。日中両国が信頼と協力関係を築けるかどうか、もはや二国間にとどまる問題ではない。アジアと世界に新たな秩序を創造し、平和と発展を目指すために極めて重い問題である。世界の未来にかかわる枢要な課題なのである。よって、政治、経済にとどまらず文化においても、すなわちあらゆる領域、分野において、どうすれば関係を深め、相互の発展を図ることができるのかという命題の立て方こそが、政治家であれ経済人であれ、それこそ筆者のような市井の一個人であれ、すべからく求められていることを忘れてはならない問題としてあるのだ。

 そして、メディアもまたこの命題に真摯にかつ謙虚に立ち向かうべきである。「火をつけちゃったかな」などと得意然としている場合ではない。それを恥ずかしげもなく、なんの批判もなく伝えるメディアにジャーナリズムを名乗る資格などないと知るべきである。

 重ねて問う!

 我々は唯々諾々と米国につき従っていくだけの存在でよいのか。そして、我々は、どこを目指して歩む日本であるのか。我々の誇りとは何であるのか。いまこそ立ち止まって真摯に考えてみようではないか。今、まさに「十字路に立つ日本」という深い自戒をもって。


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