【権力者は黄昏を悟れ(1)】晋三さん!もう少し謙虚さがほしかった
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号泣する元家僕
美祢(仮名)は安倍家に感謝するとともに号泣する。「今日、私がこれだけの地位を築けたのは晋三氏の祖父である岸信介、親父の安倍晋太郎のおかげである。三代目の晋三とは、世代が違うこともあり、あまり意思疎通ができなかった。身内で的確な助言をできるのは俺しかいなかっただろう。総理大臣のポストを投げ出した2020年9月に、東京のパーティーの席上で晋三に3年間は静かにしておいた方がよい。そうすれば3年以内に3度目の復活の機会に遭遇できると彼の運勢を読みながら伝えたのであるが、こちらに顔も振り向かずに知らん顔していた。これが晋三の運命であろう。私も“腑抜け虚脱状態”になった」と経緯を語る。
美祢は、祖父・岸信介氏の青年支援行動隊長に就き、青年時代は暴れまくった。父・晋太郎氏の時には私設秘書として辣腕を振るった。同氏の使命を受けて海外支援政策の実現のために貢献してきた。美祢の本業は事業家であるから、晋太郎氏から資金援助を受けたことはない。逆に捻出してやったことはある。晋太郎氏は、癌によって政治使命を全うできずに悔しさを抱え、67歳で亡くなった。「確か亡くなった年は晋三と同年であっただろう。もし晋太郎先生であれば、控えめにしてくださいという助言を素直に受け入れていたはず。攻めと守りの機を心得ていた政治家であった」とも語る。
あっけない幕切れ
今回の暗殺を動画などで見た誰もが、「意外とあっけない幕切れだったな。安倍さんの運ははかないものであった」と実感するであろう。奈良県警の警備の怠慢について強い批判が起こるのは当然である。晋三氏が演説する後方エリアがあまりにも無防備であることは素人でもわかる。まるで「どうぞ近づいてください」と言わんばかりのスペースがあった。こんな無防備なスペースが生じることは普通ならば考えられない。神から見捨てられたとしか言いようがない。
暗殺者・山上徹也の動機が漏れ始めている。聞くところによれば、「母親が統一教会に金を巻き上げられた。どうしても許せない。指導者に接近するのも難しいのでターゲットを探していたら、安倍晋三という政治家が肩入れしていたことが判明した。この男に狙いを絞った」というのが動機の概略である。
暗殺作戦を練り上げた確信犯の存在は、今のところ浮上してこない。山上の単独犯となる雲行きである。そうなれば、晋三氏の派手で貪欲な政治活動がテロリスト山上の目に焼きついたため、犯行におよんだということになる。個人的な人間の傲慢さのレベルでは許されるが、政治家、いや国を司った権力者は己の傲慢さへの自制が必要である。
安倍家のくびきが取れた
元家僕・美祢が振り返る。「安倍家と我が家は、かなり昔から共通の拝み屋からいろいろな助言を受けてきた。晋太郎先生は私の意見具申に対しては非常に謙虚に受け止められてきた。まさしく謙虚な人であった。それでも政治家としては最終局面において道半ばで後悔の念を抱いて旅立っていかれた。権力者には必ず黄昏がやってくる。政治家はこの認識をもっていないと、必ず引退(政治面でも寿命面でも)する際には罰(ばち)を被ることになる」と語る。
晋三氏は祖父の岸から数えて3代目となる。東京育ちで選挙区である山口・下関とは縁が薄い(選挙活動で帰るだけ)。兄貴は優秀で、コンプレックスを抱いて育ってきた。父・晋太郎氏の政治秘書をやっていたおかげで代議士の縁をつかみ、日本の首相として通算10年に迫る政権を張った。このたまたまの結果を錯覚して「己を神様」と過信したのか。美祢は「これで安倍家との関係が絶たれたから、すっきり我が道を貫く」と爽やかな気分となった。
(つづく)
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