2024年12月24日( 火 )

国葬強行方針で岸田内閣大暗転

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「国葬の実施を撤回しなければ内閣支持率低下に歯止めをかけられない」と指摘した7月31日付の記事を紹介する。

岸田文雄首相が7月14日の記者会見で故・安倍晋三氏の国葬を実施する方針を述べた。

岸田首相は国葬を実施する理由として、

1.憲政史上最長の通算8年8カ月にわたり首相の職責を担ったこと

2.卓越したリーダーシップと実行力を示したこと

3.国内外から哀悼、追悼の意が寄せられていること

を挙げた。

また、

「安倍元首相を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」

ことを、国葬を執り行う意義であるとした。

私は7月15日付ブログ記事
「容認されない法根拠なき国葬強行」
https://bit.ly/3oO253L

メルマガ記事「求められる国葬への国民論議」
https://foomii.com/00050

に次のように記述した(一部抜粋)。

「日本が法治国家である以上、行政府の行為については法的根拠が必要。

法的根拠もあいまいなまま、雰囲気で国葬実施を強行する点に大きな問題がある。

安倍首相を銃殺したとして勾留されている山上徹也容疑者は統一協会に恨みを持ち、安倍元首相が統一協会と関りがあるとして殺害を決意したと供述していると報じられている。

一部メディアは山上氏の「思い込み」との表現を用いているが、安倍元首相や岸信介元首相が統一協会や勝共連合と関係してきたことは紛れもない事実。」

「それぞれの人が故人の冥福を祈ることは順当だが、国家が公費を投下して葬儀を実施して、国民に弔意を求める、あるいは弔意を強制するのは正しくない。

SNS上で意見が表明されているように、多数の日本の主権者が国葬実施に反対の考えを有していると思われる。

この状況下で岸田文雄氏が国葬を実施したいと考えるなら、根拠法を制定し、その法規定に基づいて実施すべきだ。

法的根拠があいまいな状況下で、慣例から外れる国葬を実施することに、日本の主権者の多数が同意すると考えられない。」

「多くの問題を抱える宗教団体のフロント団体に対して安倍元首相が特段の関りを有していたことも事実である点を見落とせない。

国葬実施の方針提示は安易であると言わざるを得ない。

岸田内閣のほころびがこの問題から拡大する可能性がある。」

「好事魔多し」という。

岸田内閣は多くの偶然に支えられて国政選挙を勝利し、高い内閣支持率を獲得してきた。

しかし、目覚ましい実績を上げてきたわけではない。

1.前任者や前々任者が粗暴で傲慢な立ち居振る舞いをしてきたため、普通の対応を示すだけで好感度が上がったこと

2.コロナ感染が変質してコロナ重篤化者やコロナ死者が急速に減少したこと

3.野党が自ら分裂の道を歩み自壊したこと

に支えられて内閣支持率が上昇しただけのことだった。

自民総裁選、衆院選、参院選に勝利したことで岸田文雄氏の心に緩みが出たことを否めない。

岸田派は自民党内第4派閥。

国葬を実施することで最大派閥の旧安倍派の支持を取り付けられると安易に考えた可能性が高い。

内閣法制局はもはや機能していない。

内閣に対して客観的に法律の誠実な執行を補佐する本文を忘れて、内閣の忖度機関に成り下がっている。

国葬令は日本国憲法施行に連動して失効した。

国葬は新憲法下の「国の儀式」になじまない。

例外として実施された吉田茂元首相国葬も評価は低かった。

国会審議で、今後については根拠法が必要であることを内閣が答弁している。

法的根拠なき国葬を強行することは議会制民主主義の根本精神を踏みにじるもの。


※続きは7月31日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「国葬強行方針で岸田内閣大暗転」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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