2024年12月23日( 月 )

MrMax、存亡かけた中期5カ年計画スタート(1)

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 (株)MrMaxは前期決算で最終赤字と無配に転落したのを受け、収益改善に向け中期5カ年計画を策定、今期からスタートさせた。最終年度の2020年3月期の純売上高は前期比9.5%増の1,200億円と微増にとどめ、既存店強化や商品政策の見直しなどで売上高営業利益率を3%に引き上げる。しかし、高コスト構造の改革は手付かずで、売上を伸ばさずに利益を増やせるのか、達成には不透明感が漂う。ディスカウントストア間の競争は激化しており、企業存続をかけた5年間となる。

増税で前期赤字転落

mrmax1 (株)MrMaxの2015年3月期決算は、消費増税前の駆け込み需要の反動減と円安の影響が重なり、営業損益は8億7,600万円、経常損益は7億8,300万円の赤字に転落した。
 営業収益はスーパーセンター3店と中型店の「セレクト」2店を出店したことで前期比1.0%の増収だったが、既存店は想定の4.0%減を上回る5.3%減に落ち込んだ。
 円安で仕入原価が上昇したが、売価への転嫁を遅らせたことや、回転の悪い商品の在庫評価損約7億円を計上したため、粗利益率(売上総利益率)が20.96%と0.73ポイント悪化し、売上総利益が減少。出店にともない販管費が3.6%増加したことも手伝って、収益が悪化した。
 特損に減損損失9億1,700万円や今後の店舗閉鎖に備えた損失8億8,200万円を計上したことで、当期純損失は29億8,200万円に膨らんだ。最終赤字計上と無配は株式上場以来、初めて。経営責任を明確にするため、平野能章社長以下、取締役は報酬の2割を今年6月までカットする。

20年1,200億円目標

 今期からスタートさせた中期計画によると、初年度の16年3月期は14年ぶりに出店を見送るものの、賃貸収入を除いた純売上高は1,100億円と1.3%の微増を予想。営業利益は5億円に黒字転換する。18年3月期は売上高1,100億円と2期連続の横ばいとなるが、営業利益は22億円に拡大。19年3月期から売上拡大に転じ、最終年度の20年3月期には売上高1,200億円、営業利益36億円、営業利益率3%を目指す。
 店舗のスクラップ&ビルドを進め、不採算店数店を閉鎖する。新規出店も継続し、17年3月期に1店を出す。閉鎖店の店名や時期などは明らかにしていないが、総店舗数は前期末と同じ60店程度を維持するとしている。
 具体的な利益増強策としては、売れ筋商品への絞り込みや低販売回転率商品のカットなど商品政策の改革で14億円。店舗運営の効率化などオペレーション改革で10億円、コスト削減で6億円と、18年3月期までに計30億円の増益効果を見込む。同期以降の追加施策で14億円を上乗せし、5年間で計44億円の収支を改善する。
 初年度は既存店売上が前期比0.2%減とほぼ横ばいを予想。食品や日用品の品目数を2~3割削減し、単位あたりの発注量を増やすなどの施策で粗利益率を22.10%と1.14ポイント引き上げる。販管費は1.0%増加するが、粗利の改善で吸収する。
 粗利益に占める人件費比率(労働分配率)は前期で41.0%と4割を超えるが、35.4%に引き下げ、10億円の増益効果を生み出す。粗利益の増加と人員体制の適正化で達成する。
 作業効率を改善するため、売場外在庫の防止や発注ルールの厳格化、店長の裁量依存からの脱却など、流通業では当たり前の施策が盛り込まれている。

(つづく)
【工藤 勝広】

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