2024年12月23日( 月 )

福岡地区生コン市場のこれからは?

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concrete 生コン業界における九州地区の大票田である福岡地区生コンクリート協同組合。6月10日に既報の『福岡地区生コン協組が再編加速か?』で述べた通り、福岡の生コン業界のアウトサイダーの代表格である、飯塚市の(株)サカヒラ(旧社名坡平産業)が同協同組合に加入する方向で協議が加速化している。複数の関係筋の話では、「まだ決定していないが、双方とも前向きに協議している模様だ」という。

 過去、何度も双方の話し合いは実施されてきたが、協議のテーブルには着くものの、営業権(シェア)の割合において双方の思惑が大きく離れているなど、諸条件面で折り合いがつかず物別れに終わることが繰り返された。
 今回も「いつもの通り、シェアの割合で交渉が決裂して、サカヒラが秀逸な営業力で、勢力を拡大するであろう」と予想していた。だが、今回は様相が異なるようだ。地元経済アナリストは、「先代の社長の坂平忠一会長は、剛腕を生かした営業力で市場を開拓してきた。単なる強引さではなく、顧客に対するきめ細かな対応によって心をつかんできた。その行動は、“手厚いもてなしやこまめな訪問など、坂平忠一さんは徹底した人心掌握を実践していた”という。その坂平現会長自ら汗水を流したことが、今のサカヒラをつくった。生コンという製品性質上、どの工場も品質にはそう大差はない。だから、“あの坂平忠一さんが自ら営業されて訪問されたら買いますよ”というゼネコンが圧倒的である。地元の飯塚でも名士・紳士として名高い。
 忠一会長は昨年の10月、ご子息の隆司氏に社長の座を引き継いだ。ご本人も代表取締役であるので、まだまだ目を光らせるだろうが、生コンの事業は現社長に舵取りをさせるようだ。そこは、親心であろう。息子には、ご自身がこれまで実践してきた厳しい営業のしのぎ合いをさせずに、組合という協調して安定した環境下でマネジメントさせたいというのが本音ではなかろうか。もう一つは、お膝元の筑豊地区の建設工事の市況が、あまりかんばしくないことも、今回の同協同組合への加入をより前向きに検討している理由であろう」と分析する。

 他の福岡地区のアウトサイダー各社は、「当社が組合に入ることは、現状ない。サカヒラさんの動きについては静観。仮に組合に入られても、当社の市場には影響はない」とコメントしている。

 そう遠くない時期に、サカヒラの同協同組合の加入についての結論が出る。同協同組合内は、賛否両論で議論している模様だ。

 今期以降の生コンの出荷量は、「出荷量は2012年度のボリューム。120万m3前後で推移するのではないか」(業界関係筋)と緩やかながら減少傾向にある。今後、福岡地区における大型プロジェクトは、天神地区、九州大の旧六本松キャンパス跡地、九州大箱崎キャンパス周辺地区の再開発が存在するくらいで、マンション建設も落ち着いてくることが予測されており、生コンの需要はジリ貧となる可能性が高い。その中でサカヒラが同協同組合に加入すれば、相応のシェアを有することが明らかで、既存の組合工場は割り当てられた今のシェアを差し出す事態になるだろう。そうなれば苦境下に陥る組合工場が出てくる。経営難になる前に、営業権を譲り廃業する工場が何社か現れればうまくまとまるかもしれない。だが「自分から廃業しますと手を挙げる工場は、皆無だろう」(業界関係筋)と事情は複雑だ。今後の動向についても取材を続ける。

【河原 清明】

 

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