2024年12月23日( 月 )

MrMax、存亡かけた中期5カ年計画スタート(2)

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 (株)MrMaxは前期決算で最終赤字と無配に転落したのを受け、収益改善に向け中期5カ年計画を策定、今期からスタートさせた。最終年度の2020年3月期の純売上高は前期比9.5%増の1,200億円と微増にとどめ、既存店強化や商品政策の見直しなどで売上高営業利益率を3%に引き上げる。しかし、高コスト構造の改革は手付かずで、売上を伸ばさずに利益を増やせるのか、達成には不透明感が漂う。ディスカウントストア間の競争は激化しており、企業存続をかけた5年間となる。

高コスト構造は手付かず

mrmax MrMaxの業績は長期低迷が続いている。過去10年、営業利益率は1%未満で、12、13年3月期は0.1%台と利益が出ているとは言えない水準。
 中期計画は、長期低迷の原因の1つである高コスト構造の改革に踏み込んでいない。前期の売上高販管費率は24.95%と総合スーパー(GMS)並みの高さで、同業ディスカウントストア(DS)のトライアルカンパニーの16.42%(14年3月期)と比べ、8ポイント以上高い。営業利益率を3%に引き上げるには、販管費率の思い切った引き下げが不可欠だが、扱い品目のカットや店舗作業の効率化など、小手先の改善にとどまる。
 最大の課題である店舗の販売力強化に向けた具体策も見えてこない。
 店舗の販売力を示す既存店売上は、過去8年間で前年を上回ったのは3回。過去5年間に限ると、増税前の駆け込み需要のあった14年3月期の2.3%増の1回だけしかない。周辺にトライアルなどの同業態だけでなく、コスモス薬品やダイレックスなどの低価格異業態が進出し、競争が激化しているためだ。
 販売効率は低下の一途をたどっている。流通企業の販売効率を示す坪(3.3m2)あたり年間売上高は10年3月期に直近のピークである130.8万円を記録した後、ほぼ一貫して減少し、前期は104万円と5年間で2割強悪化した。

商品力の弱さ響く

 福岡県新宮町の国道3号線近くにあるMrMax新宮店。5月中旬の午後、広い店内に客はチラホラで6台あるレジは2台しか開いていなかった。約1㎞離れた場所にあるトライアル新宮店の賑わいぶりとは対照的だった。食品スーパーなど主だったテナントは出てしまい、苦肉の策で跡を家具のアウトレットやゲームコーナーで埋めている。魅力あるテナントが少ないことが、集客力低下に拍車をかけているかたちだ。
 同じ国道3号線沿いにある宗像店や本城店(北九州市八幡西区)、土井店(福岡市東区)、粕屋店(福岡県粕屋町)など、MrMaxには競合店の進出で集客力が低下し、売上の低迷している店舗が少なくない。安さではトライアルやコスモス薬品にひけを取らないのに集客力で劣るのは、商品力が弱いせいだ。
 新宮店や宗像、本城店は生鮮はもとより、日配食品も置いていない。いずれも自社の運営する商業施設で、テナントに食品スーパーを入れているためだ。単独店の粕屋店は昨年6月、生鮮テナントを入れた効果で盛り返し、隣にあるサニーを撤退に追い込んだ。

(つづく)
【工藤 勝広】

 
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