2024年11月22日( 金 )

【福岡IR特別連載100】長崎IR、何とも愚かな地元マスコミの報道!

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 筆者は以前から、ハウステンボスの事実上の所有者であるHIS(エイチ・アイ・エス)澤田氏の動向に注視し、同社最大の経営危機(今回の世界的なコロナ禍問題で)に際して、これらを管轄する長崎県行政や佐世保市行政に対して、今回の「売却転売」問題に警鐘を鳴らし続けてきた。

 その主旨は、「長崎IR」というよりも、「ハウステンボスの閉鎖危機」である。それは、一昨年亡くなった稀代の「ハウステンボス創業者・神近義邦氏」(享年78歳)の同園に対する思い入れを良く承知しているからである。筆者は、生前から、一緒にゴルフや飲食などをさせていただいた。神近氏の環境に対する考え方、生き様は、常人のはるか彼方の高いレベルを目指しており、これは現在に通じるすばらしいものであった!

 世間ではあまり知られていないが、同園開発時から、数多くの関係者の協力も得て、巨額な費用をかけて多種多様な環境保護対策を優先実施しているのである。まさに、現代のSDGs(持続可能な開発目標)に通じる活動を当時すでに実行していたのだ。

 さらに、同施設のすべてが本物志向で、一切の妥協をせず、オランダ・アムステルダムの街並みを再現した。これらがこの園の財産である。開業当時は、同園内を移動するタクシーまでも別注し(一台あたり約1,000万円)、数多くの特別仕様車が、お客さまを乗せて優雅に街路を走行していた。当時、世間は、それらに驚き、一世を風靡することとなる。ハウステンボスが「日本の3大テーマパーク」と呼ばれる由縁だ。その後は、皆さんご承知の通りである!

 今回は、マネーゲームによって、行政が事前に約束している当該隣接所有地の買取価格(205億円)を含む、出来もしないIRの付加価値を乗せて、巨額な価格で売却・転売しようとしている。

長崎IRはすでに崩壊、ハウステンボスだけを残せ

ハウステンボス イメージ    長崎新聞を筆頭に地元マスコミは何を報道しているのか?また、佐世保市の朝長市長に長崎県の大石知事は何を優先して保身に走っているのか?もう、すでに、すべての答えは出ているではないか!

 筆者が事前に指摘していたように、先日、NHKを筆頭とした全国のマスコミによる、「HIS澤田氏が、香港に本社を置く中華系不動産投資企業『PAG』にハウステンボスを売却する。その額800億円超」という報道が出た時点で、長崎IRは事実上崩壊しているのだ。

 重ねて解説するが、その主たるポイントは、「日米経済安全保障」問題に抵触するからだ!中華系の新たな同園所有者に対し、政府が“IR区域認定申請”を承認することはないのである。

 過去の長崎県行政による、恣意的でお粗末な本件IR入札問題と同様の経緯で、今やわが国のプロジェクトに関し、中国・香港の企業に、一切チャンスはない。

 あれだけの報道を一度でもされたら、もう終わりである。しかし、いまだに地元マスコミも管轄する行政も、なぜこれらを理解できないのか?愚弄され、狼狽している姿は嘆かわしい限りだ!

 最近の米国不動産投資金融企業からの資金調達だの、和歌山IRで頓挫しているカナダの同業者からの資金調達などは支離滅裂、愚か過ぎて論外である。地元マスコミは何処に主眼を置き報道しているのか?国際感覚もなく、歴史認識も施設への愛情すら感じられない。

 安倍、菅政権を継承している現在の岸田政権は、ロシアによるウクライナ侵攻に台湾問題も含めた米中覇権争いのなか"日米経済安全保障問題"に対し、より厳しくなっている。また、政府指導の本件IRの事業母体組織組成(コンソーシアム)には、いまだ程遠く、その理屈には一切合っていない。重ねて解説するが、最初から長崎IRなど、都市圏人口の少ない地方都市では、相当無理があり、本件IR計画はすべきではなかったのだ。

 朝長佐世保市長の「ハウステンボスの所有者が代わっても、IRに一切影響はない」とは、とんでもなく愚かな発言である。

 長崎県や佐世保市民は、今回のIR開発騒動で「ホテルヨーロッパ」を含めた当初からの施設がなくなることなどを憂慮しており、もし、HISの澤田氏が、売価に関わらず、中華系に転売し、彼らが所有者になれば、「お金が第一」のマネーゲームに翻弄され、IRどころの騒ぎではなくなるのだ。

 また、今回の売却・転売話で、米国などの不動産投資金融企業が、「当該地所有者が将来的に明確ではない物件」に本件IRへの投資の約束などをするはずがない。これは素人でもわかる話だ!いくら地方都市と言っても、長崎新聞を筆頭にした地元の各マスコミでも、これらは簡単に理解できるはずだ。

 従って、これらの断片的な報道は、HIS澤田氏の当初からの戦略通りで、中心人物は当の澤田氏と考えるべきである。同社は可能な限り、付加価値を付けて売却したいのだ!「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」(CAIJ)の林社長(歌手・小林幸子氏の夫)や、その傘下である本件事業母体と称する「KYUSHUリゾーツジャパン」関係者の全てが澤田氏の仲間となり、利害が一致して、相互に動いた結果によるものと思われる。これで、すべての辻褄が合うのである。

 よって、本件売却・転売話は、売買価格の大小に関わらず、実行される可能性が高い。最後は「澤田氏の1人勝ち」になるであろう。

 これを止めるには、長崎県行政の首長である大石県知事が、速やかに長崎IRの中断を正式に発表するしかない。

 福岡市財界の一部関係者も、九州経済連合会も、すべてHIS澤田氏の手のひらで転がされているのだ。長崎県行政、佐世保市行政含め、全員でハウステンボス売却転売話の片棒を担いでいると言っても過言ではない。これだけ愚弄されても大変な「お人好し」たちである!

 最後に、当該地の地元住民によるIR反対運動組織が新たに設立されたとの報道もあるが、これらも相も変わらずの時代錯誤の「ギャンブル依存症」を理由にしたものだ。彼らも、単純に反対するだけでなく、もっと勉強して、あくまで「ハウステンボス売却・転売」のマネーゲーム阻止にその主旨を切り替え、同園の存続に舵を切るべきである。すでに、IR誘致開発計画は頓挫し、崩壊しているのだ!

 従って、ハウステンボスが生き残るための最大かつ唯一の戦略は、福岡IRとの連携を模索することである。しかし、それもHIS澤田氏の戦略が近い内に実行されれば、“元の木阿弥”となり、その後は、大変な政治スキャンダルに発展しかねない危機的な状況となるであろう。もう、余り時間はないが、筆者の懸念はそこにある!

【青木 義彦】

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