【福岡IR特別連載103】長崎IR、首長の日米経済安保無視の愚かな発言
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昨日、NHKなどマスコミ各社が、今回のハウステンボス(以下、HTB)売却転売問題の確定について報道した。西日本新聞を含めた、ほぼすべての報道機関が、今後の長崎IRの動向に注視し、今後の成り行きに大変注目している。
ところが、筆者が前号で予測していた通りに、早速、昨日長崎県の大石知事までが、先日の朝長佐世保市長と同様に、HTB所有者が香港本社の中華系投資企業PAGに代わっても、長崎IRに影響することはないと、公式な場で言い放っている。
非常にスピーディーな対応であり、筆者は予測していたものの驚いた。朝長佐世保市長はHTBの代表者を呼び出し、地元マスコミの前で、本件買収後の長崎IRプロジェクト継承をめぐる自身の発言を裏付けるための会見まで開いた始末だ。何とも滑稽で愚かな姿勢だ。
首長らはHTBとPAGに対していかなる権限をもつというのか。すでに、長崎県行政が国に提出している「区域認定申請書」には、このような“売却転売"問題の予想とその結末が、当初から記載されているというか。ネット上に公表されている同申請書を見れば一目瞭然である。彼らは「寝首を掻かれて」狼狽し、自らの傷口を押さようとしているだけにすぎない。
本年4月に提出された63ページにものぼる同申請書にはHTBの土地施設所有者が、中華系企業のPAGに変更される可能性などは切記載されてはいない。ただ、九州経済連合会内などから成る九州IR推進協議会などの福岡財界からの積極的な協力姿勢からみて、その可能性が大きいことは記載されている。
しかし、すでに報じられた通り、九州電力など西部ガス、JR九州、九電工、西日本鉄道のHTB株主5社は、今回一斉にHTB(HIS)に売却する。福岡七社会のほぼすべてがHTBから撤退することになる。
長崎県行政の首長たちは、何を根拠に長崎IRに影響はないと公言しているのか。辻褄が完全に合わない。
日米経済安全保障に、重要土地規制法
前号で解説しているように、佐世保は、地勢学上大変重要で、我が国海防の要の地であり、台湾有事を想定したインテリジェンス(諜報)の要の基地の街でもある。米国海軍、海上自衛隊、加えて海上保安庁の要衝だ。保守系の政治家にとっては常識的なことであり、現地の首長の発言としては理解できない。
地元マスコミ各社はなぜかこれらに触れようとしない。新たな所有者が中国・香港に本社が企業に変更しても影響はないなどと、愚か過ぎて解説しようがない。SNS上では、「HISの澤田は売国奴」との過激な投稿が氾濫しているのである。
現岸田政権は安倍、菅政権を継承しており、日米経済安全保障の観点から、この中華系企業PAGとのHTBパッケージIRを承認することは万が一にもないと断言する。
併せて、今月から施行される「重要土地等調査法」では、米国軍事基地ならびに我が国の自衛隊基地などが近隣にある場合は特別重要地域に指定され(全国600カ所の指定予定)、外国企業による土地取引に制限がかけられる。今回のHTB売却転売は、それを想定しての駆け込み取引である。
これらは正に、台湾有事を想定したうえでの、中国習近平政権を仮想敵国とした日米の国防戦略である。大石知事、朝長市長には、自らの責任は自らが取るものであり、IR申請を国から拒否されるまで待つような姑息なことをやるべきではないといいたい。
すでに、いくつかの報道機関は、昨年の本件公開入札時に恣意的に外した、香港に本社を置く中華系カジノ投資企業2社をめぐる経緯を記事にしている。保身に走っても必ずわかることであり、逆効果である。
潔く、これらの結果を素直に認めて、自ら長崎IRの中断を決断すべき時である。さらに追い込まれる前に実行することこそ、政治生命を守るものと筆者は信じる。
【青木 義彦】
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