2024年11月17日( 日 )

九州地銀(18行)の2023年3月期第1四半期決算検証(5)

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 【表1】は九州地銀の金融グループ(3社)の2023年3月期 第1四半期(22年6月期)の預貸率の順位表である。
 1位は西日本FHで82.7%。貸出金8兆3,334億円に対し、預金は10兆780億円。貸出金は21年6月期より994億円減少。預金は2,050億円増加したため、前年の預貸率85.4%より2.7%減少している。
 2位はふくおかFGで81.1%。貸出金17兆108億円に対し、預金は20兆9,649億円。貸出金は1,732億円増加。預金は8,188億円増加したため、前年の預貸率83.6%より2.5%減少。
 3位は九州FGで76.7%。貸出金8兆743億円に対し、預金は10兆5,264億円。貸出金は同4,376億円と大幅に増加。預金は同4,672億円の増加だったため、前年の預貸率75.9%より0.8%増加している。
 北九州銀行を傘下に置く山口FGは78.3%。貸出金8兆2,188億円に対し、預金は10兆4,963億円。貸出金は3,453億円増。預金は2,402億円の増加だったため、前年の預貸率76.8%より1.5%増加。金融グループ4社のうち2社の預貸率が増加している。

【表1】

 【表2】は、九州地銀(18行)の2022年3月期 第1四半期(22年6月期)の預貸率の順位表である。
 九州地銀18行の22年6月期の預貸率の平均は78.5%。平均を上回っているのは熊本銀行から福岡中央銀行までの7行となっている。

(1)100%を超えるオーバーローンの銀行は3行
 預貸率の1位は、ふくおかFG傘下の熊本銀行で115.8%。貸出金1兆9,213億円に対し、預金は1兆6,594億円。預金が伸びず前年の預貸率114.2%より1.6%上昇。
 2位は前期3位の山口FG傘下の北九州銀行で106.4%。貸出金1兆3,056億円に対し、預金は1兆2,268億円。預金が前期比225億円減少したため、前年の預貸率100.4%より6.0%の大幅な上昇。
 3位は西日本FH傘下の長崎銀行で101.6%。貸出金2,657億円に対し、預金は2,614億円。前年の110.9%より▲9.3%と大きく低下している。この3行はオーバーローンが続いているが、いずれも金融グループ傘下行であり、資金調達に問題はないと見られる。

(2)最適の預貸率80%台は2行
 4位の福岡銀行は85.54%。貸出金11兆6,317億円に対し、預金は13兆5,982億円。前年の預貸率85.52%から0.02%上昇。
 5位の西日本シティ銀行は82.4%。貸出金8兆1,027億円に対し、預金は9兆8,370億円。貸出金が前期比1,055億円減少。預金が1,939億円増加したことから預貸率は前年の85.1%から2.7%減少しているが、80%台を維持している。

(3)預貸率70%台は9行
 6位の鹿児島銀行は79.0%。貸出金3兆9,269億円に対し、預金は4兆9,710億円。前年の預貸率80.4%から1.4%減少。
 7位は福岡中央銀行で78.8%。貸出金4,302億円に対し、預金は5,461億円。貸出金が1億円減少。預金が194億円減少したため、前年の預貸率76.1%から2.7%上昇。
 8位は佐賀共栄銀行で77.1%。貸出金1,951億円に対し、預金は2,531億円。貸出金が前期より32億円減少したため、預貸率は前年の78.9%より1.8%:減少。
 9位は前期12位の佐賀銀行で76.2%。貸出金2兆1,873億円に対し、預金は2兆8,721億円。貸出金が前期比1,517億円(7.5%)と大幅に増加したことから前年の預貸率72.8%から3.4%上昇。
 10位は肥後銀行で75.9%。貸出金4兆2,283億円に対し、預金は5兆5,744億円。貸出金が前期比3,565億円(9.2%)と大幅に増加したことから前年の預貸率72.9%から3.0%上昇。
 11位は南日本銀行で73.6%。貸出金5,818億円に対し、預金は7,902億円。貸出金が前期比48億円減少したことから前年の預貸率74.9%から1.3%減少。
 12位は宮崎銀行で73.3%。貸出金2兆2,829億円に対し、預金は3兆1,144億円。貸出金が前期比1,223億円(5.7%)と大きく増加したことから前年の預貸率73.0%から0.3%上昇。
 13位は宮崎太陽銀行で72.2%。貸出金5,335億円に対し、預金は7,387億円。前年の預貸率72.7%より0.5%減少。
 14位は豊和銀行で71.2%。貸出金4,173億円に対し、預金は5,859億円。前年の預貸率71.9%より0.7%減少。

(3)預貸率60%台以下は3行
 15位は筑邦銀行で63.6%。貸出金5,273億円に対し、預金は8,286億円。貸出金が前期比53億円減少したことから前年の預貸率64.7%より1.1%減少。

 16位は十八親和銀行で62.3%。貸出金3兆6,062億円に対し、預金は5兆7,906億円。合併にともない貸出金が前期より4,025億円減少したことから、前年の預貸率71.4%より9.1%の大幅な減少。
 17位は大分銀行で56.3%。貸出金2兆65億円に対し、預金は3兆5,629億円。前年の預貸率56.5%より0.2%減少。20年6月期は60.4%だったが2期続けて50%台となっている。
 18位のふくおかFG傘下のみんなの銀行は23.2%。前年比3.2%上昇しているが、今はグループで支援してボリュームを増やすことが喫緊の課題ではないだろうか。

<まとめ>
 九州地銀は18行で第一地銀11行・第二地銀7行。22年6月期決算で、預貸率上昇したのは熊本銀行など9行で、第一地銀が6行、第二地銀が3行。一方、減少したのは9行で、第一地銀が5行、第二地銀が4行となっている。
 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、銀行経営の重要な指標の1つである預貸率から見えるのは、地域の資金需要が低迷しているなか、第一地銀より第二地銀が厳しい状況にあるのはたしかなようだ。

【表2】
【表2】

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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