2024年12月23日( 月 )

MrMax、存亡かけた中期5カ年計画スタート(5)

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 (株)MrMaxは前期決算で最終赤字と無配に転落したのを受け、収益改善に向け中期5カ年計画を策定、今期からスタートさせた。最終年度の2020年3月期の純売上高は前期比9.5%増の1,200億円と微増にとどめ、既存店強化や商品政策の見直しなどで売上高営業利益率を3%に引き上げる。しかし、高コスト構造の改革は手付かずで、売上を伸ばさずに利益を増やせるのか、達成には不透明感が漂う。ディスカウントストア間の競争は激化しており、企業存続をかけた5年間となる。

“安さ”だけに限界

mrmax2 MrMaxにとって深刻なのは、安さだけでは客を引き付けられなくなったことだ。多様な低価格業態が登場し、客の選択肢が広がるとともに、同社の主力とする大型DSが“制度疲労”を起こしてしまった。客は安さを求めて同社の店舗に行く必要はなくなった。
 本業の小売業では、とうの昔から利益が出なくなっている。商品売上高の1,096億円から仕入原価を引いた粗利益230億円では販管費の276億円を賄い切れず、テナントから徴収する賃料で埋めてきた。店舗の大半は採算が取れていないと見られる。営業力の低下を放置し、本業立て直しに取り組んでこなかった経営陣の責任は重い。
 MrMaxが経営改革を怠っている間に、後発のトライアルに売上高で約2,000億円、コスモス薬品には3,000億円の差を付けられ、バイイングパワーでは太刀打ちできなくなってしまった。ルミエールのように、売上は少なくても低コスト経営で対抗することもできない。バイイングパワーで勝る競争相手に価格で対抗しようとすれば粗利を削るしかなく、その結果は収益の悪化と企業体力の低下を引き起こしている。

計画達成は不透明

 売上を伸ばさずにどうやって営業利益率を3%の引き上げるのか、中期計画はその道筋を充分に示しているとは言えない。コスト削減の具体策の1つに挙げている商品の絞り込みは、客の選択肢を狭め、売上減につながりかねない。店舗作業の効率化による要員の削減といった小手先の対策で、果たして大幅な収益改善はできるのか、改革は中途半端な印象をぬぐえない。
 高コスト構造の元凶である高い固定費や、採算の悪化している大型店の抜本的な見直しは避けられない。経営改革をどこまでやり切れるか、トップの実行力が問われる。

(了)
【工藤 勝広】

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