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(株)福岡中央銀行
取締役頭取 荒木 英二 氏福岡中央銀行は、1951年6月設立の第二地銀。福岡県内を営業地盤として41店舗(本支店39、出張所2)、従業員数468人(2022年3月末現在)の体制でサービスを展開している。今年6月に新頭取に就任した荒木英二氏に抱負や今後の取り組みについて聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
行員のモチベーションの維持・向上のために
──6月に頭取に就任されました。まずは就任されての感想をお聞かせください。
荒木英二氏(以下、荒木) 就任して2カ月が経とうとしています(インタビューは8月26日)。今は毎日、お客さまのところにご挨拶回りをしていて、毎日がとても忙しく、あっという間に1日が終わってしまいます。
私は昨年4月に当行顧問として入行し、その後、専務を務めておりましたが、やはり組織のトップに立つというのは、責任がこれまでとはまったく違うと感じています。規模的には小さな銀行ではありますが、500人弱の行員が在籍していますし、その人たちにはご家族がいらっしゃる。それを考えると「なお一層しっかりやっていかなければ」という思いを強く持ちました。
──頭取ともなれば、これまでとは自身の発言に対する重みも異なってくるでしょうね。
荒木 当然のことながら、自分の領域に関する発言だけでなく銀行全体を見たうえでの発言が求められます。
──行員にいかにやりがいを感じて働いてもらうかも組織のトップとしての役割だと思います。
荒木 銀行という組織は、メーカーなどとは異なり、成果物がかたちとして残るわけではありません。自分が行った仕事の成果が目に見えないため、とくに若い人にモチベーションをどう維持してもらうかが課題だと感じています。これが入行5~10年目になってくると、たとえば「自分が担当していた会社が成長した」などといった小さな成功体験が積み重なってきて、非常にやりがいを感じるようになります。しかし、そこに至るまでは皆、苦しむものです。若手行員には、「経験を積み重ねるうちに見えてくる景色が変わってきます。自分たちの仕事が地域の役に立っている、お客さまのためになっているということが実感として湧いてくるので、それまでは苦労もあるかもしれませんが一生懸命頑張ってください」とことあるごとに話すようにしています。
──ご自身も若手時代、同様のことを感じられたのでしょうね。
荒木 私は1981年4月に福岡銀行に入行し、春日原支店に配属されました。入行当初は毎日、集金に駆けずり回っていたほか、営業店のオペレーション業務などに従事していました。そうした日々を経た後、お客さまと直に接する仕事も増え、さまざまなご相談などを受けているうちに、この仕事へのやりがいを感じるようになったものです。
──大手だと頭取が1人ひとりの行員に向き合うのは不可能だと思いますが、貴行の規模であればコミュニケーションを図りやすいというメリットがありますね。
荒木 その通りです。ただ、コロナ禍で思うようにコミュニケーションを図れない時期もありましたが、比較的落ち着いている時期に全支店を回り、支店長はもちろん、若い行員とも30分から1時間程度面談して、意見や想いなどをヒアリングする機会を設けました。こうした面談の機会は今後も設けていくつもりです。やはり現場の声を聞くことが何よりも大切なことですからね。
低金利時代における地方銀行の立ち位置
──昨今の低金利は貴行のメイン顧客である中小企業にどういった影響を与えているのでしょうか。
荒木 現在の低金利は、企業にとって間違いなくプラスとなっています。企業として存続していくという点においてのメリットもありますが、収益に与える影響もかなり大きいと思います。
──一方で、そうした環境に甘んじている企業もあるような印象を受けます。
荒木 甘んじているというよりも、低金利が続くとそれに慣れてしまって、「この状況が当たり前」だという感覚に陥っている企業は少なからずあるかもしれません。ただ、銀行にとっては、この低金利は厳しいですね。
──私の感覚では、銀行が相応の収益を得るには、最低でも金利が2.5%ぐらいないと経営が成り立たないのではないかと思いますが…。
荒木 厳しい時代であることは間違いありませんが、銀行自体のコスト構造もかつてとは大きく異なっており、単純に比較はできません。たとえば私が入行した1980年代前半と現在を比較すると、今は大幅にIT化が進んでいます。以前は人間がやっていた業務を今はコンピューターがやってくれる時代です。店舗数も昔は、各地域にくまなく出店していましたが、現在はATMがあれば大概の場合、事足りるようになってきていますし、銀行サイドのコスト構造も時代の変化とともに変わってきています。
──たしかに昔に比べたら銀行の窓口に行く機会が減りました。
荒木 窓口にお見えになるお客さまは、ここ10年で半減、もしくはそれ以下にまで減ってきています。さらに現在はIT化により、支店内での業務量が大幅に減少している状況です。
──その分、支店に配置する人員を減らすことができたのでは。
荒木 私が入行した当時、福岡銀行春日原支店には約30人の行員がいましたが、今は20人弱。省力化が随分進みました。振り込みなども今はネットで行う人が多いですが、昔は皆さん窓口に来られていたわけです。行員はお客さまから現金を受け取って、窓口の後ろで金額をカウントして記録しなければなりませんでした。ですので、当時の事務作業量の多さは、現在とは比べものにならないものでした。
──アベノミクスを褒め称える方もいますが、金融機関にとっては大変だったのではないでしょうか。
荒木 金利面だけで見るとたしかに大変だと感じます。ただ見方を変えると、景気が上向いたことで企業の業績も向上し、信用コストを低い水準に抑えることができたのも事実です。そのあたりも総合的に評価する必要があると思います。
(つづく)
【文・構成:新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
頭 取 :荒木 英二
所在地 :福岡市中央区大名2-12-1
設 立 :1951年6月
資本金 :40億円
経常収益:(22/3)87億5,800万円
URL :https://www.fukuokachuo-bank.co.jp/
<プロフィール>
荒木 英二(あらき・えいじ)
1958年生まれ、福岡県出身。81年西南学院大学卒業後、福岡銀行に入行。2013年取締役常務執行役員、17年取締役専務執行役員、19年十八銀行(現・十八親和銀行)副頭取を経て、21年福岡中央銀行専務、22年に頭取就任。法人名
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