フェイストゥフェイスで丁寧な対応「伴走者」として真摯な顧客サポートを(後)
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(株)福岡中央銀行
取締役頭取 荒木 英二 氏福岡中央銀行は、1951年6月設立の第二地銀。福岡県内を営業地盤として41店舗(本支店39、出張所2)、従業員数468人(2022年3月末現在)の体制でサービスを展開している。今年6月に新頭取に就任した荒木英二氏に抱負や今後の取り組みについて聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
大手と同じ土俵に立たず、自らのビジネスモデルを貫く
──ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は昨年5月にデジタルバンク「みんなの銀行」を設立しました。こうした新たな業態に関してどうお考えですか。
荒木 近年、メガバンクや大手の地銀はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、次々と新しいことに挑戦している状況です。しかし、当行のお取引先は中小企業・小規模事業者が大半ですので、経営理念として掲げる「中小企業専門金融機関としての使命と役割に徹し、地域社会とともに発展する」を胸に刻み、フェイストゥフェイスでお客さまのご相談に乗るというビジネスモデルに徹しています。すべてを人間がやりますので、とても非効率だと感じられる方も少なからずいらっしゃるとは思いますが、これをやらないと当行の存在意義が失われてしまうのです。
メガバンクや大手の地銀と同じことをやっていても、資金力の差はいかんともしがたく、とてもではありませんが太刀打ちできません。やはり自分たちなりのビジネスモデルを愚直に貫いていく。そうしたなかで、当行自身の効率化とともに、お客さまのDXのお手伝いもやっていけたらと考えています。
銀行は装置産業の最たるものですので、規模が大きい方が収益は上がります。当行は規模が小さいので、収益力もその分、弱いのは事実です。ただ我々が求められている役割は、地域の中小企業、個人のお客さまに真摯に向き合うことだと思っていますし、それが我々の生きる道だと考えています。前述の行員との面談の話と同様、各支店のお取引先を回って、お客さまの生の声を聞くのは、銀行にとっても、自分自身にとっても大変大事なことです。
──福岡銀行も顧客回りを熱心にされる印象があります。
荒木 福岡銀行の福岡地区本部長時代の3年間、毎日ひたすら各支店長とお客さまのところを訪問していました。実際にお客さまとお話しすると「えっ」と驚くような情報が入ってくることもしばしばありました。
お客さまのところに赴く際、往々にして支店長は「無難なところ」をチョイスしてくるものです。しかし、私はいわゆる「立派な大会社」じゃなく、小規模な企業などに連れて行ってくれと言っていました。大きな会社も大事にしなければならないのは当然ですが、小さくても頑張っている企業の経営者の方々の生の声を聞いて、力になれたらと思っているからです。
──荒木頭取もそうですが、貴行の頭取は代々福岡銀行出身者であり、福岡銀行との関係性が深いですね。
荒木 お客さまのところに行くと「福岡中央銀行さんは、福岡銀行の子会社でしょう」とよく言われます。その度に「たしかに福岡銀行は当行の株を14%超保有する筆頭株主で、頭取や役員も福岡銀行出身者ですが、当行は当行独自でこれまで地道にやってきましたし、今後も同様です」といった話をすることが多いですね。
──福岡銀行時代、支店と本部所属の期間はそれぞれどれぐらいでしたか。
荒木 支店と本部でちょうど半々ぐらいです。どちらも同じぐらいの割合で経験できたことは自分にとって貴重な財産になったと感じています。
──銀行員にとって現場を回った経験は大切でしょうね。
荒木 支店での経験ばかりの人、逆に本部ばかりの人というのは、どこの銀行でも一定数いると思います。もちろん、個々人の特性に応じて配置している部分もあると思うのですが、私はどちらかに偏るのではなく、支店の考え方も本部の考え方も両方理解できた方がいいと思っておりますので、当行ではそうした人員配置をしていくつもりです。
──読者へのメッセージをお願いします。
荒木 当行のお取引先の多くは、コロナ禍で非常に厳しい状況に立たされています。それに加え、円安の影響などによる原材料高もあり、今後半年、1年後に深刻な影響をおよぼすことは必至です。現在、最も力を入れているのが、お取引先に赴いて、実情をヒアリングし、良い方向へと導く、「伴走」と呼んでいる活動です。コロナ禍で売上が減少した企業に実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」を受けられたお取引先が7,000社ほどいらっしゃいます。我々はそのようなご融資先を中心として、お客さまのところに定期的に足を運び、ご相談に乗るようにしています。
──とりわけ飲食店は厳しい状況でしょうね。
荒木 当行のお取引先は、飲食店のなかでもチェーン展開しているような比較的大きなところではなく、ご夫婦でやられているような比較的小規模なお店が多いのが特徴です。経営の状態はさまざまであり、客足がコロナ前の水準まで回復しているお店もあれば、居酒屋などまだまだ回復できていないお店もあります。お客さまによってそれぞれ状況が大きく異なりますので、ケースバイケースできめ細かく対応することを心がけています。これからも地域金融機関として少しでもお力になりたいと思っています。ご遠慮なくご相談ください。
(了)
【文・構成:新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
頭 取 :荒木 英二
所在地 :福岡市中央区大名2-12-1
設 立 :1951年6月
資本金 :40億円
経常収益:(22/3)87億5,800万円
URL :https://www.fukuokachuo-bank.co.jp/
<プロフィール>
荒木 英二(あらき・えいじ)
1958年生まれ、福岡県出身。81年西南学院大学卒業後、福岡銀行に入行。2013年取締役常務執行役員、17年取締役専務執行役員、19年十八銀行(現・十八親和銀行)副頭取を経て、21年福岡中央銀行専務、22年に頭取就任。法人名
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