2024年07月17日( 水 )

変容するモバイル業界 営業力と柔軟な組織体制でさらなる成長を(前)

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(株)ジャパンネットワークグループ
代表取締役 齊藤 拓也 氏

 福岡をはじめとした北部九州および中国地方の一部エリア、関東エリアでソフトバンク、au、ワイモバイルショップの運営のほか、モバイル周辺機器の販売をグループで手がける(株)ジャパンネットワークグループ。2021年9月に齊藤拓也氏が代表取締役社長に就任し、約1年が経過した。毎年成長を重ねる同社を継承した所感と今後の方針について齊藤氏にうかがった。

(聞き手:(株)データ・マックス 専務取締役 緒方 克美)

二代目としてのプレッシャーと戦う

(株)ジャパンネットワークグループ
代表取締役 齊藤 拓也 氏

    ──代表取締役に就任されてから1年が経過しました。この期間をどう感じられましたか。

 齊藤拓也氏(以下、齊藤) さまざまなことが一気に押し寄せたので、体感としては3カ月しか経っていないように感じます。それは私だけではなく、社員も同じだったと思います。しかし、営業活動に関しては私たちも率先して動いていたため、業績には大きな影響は出ませんでした。

 先代は自ら先陣を切って走っていくタイプの人だったため、継いでみると、やはり彼がつくり上げた組織なのだと実感させられます。同時に、その二代目であることから、プレッシャーに潰されそうになることもありました。

 ──現在、貴社には5社のグループ企業があります。

 齊藤 ジャパンネットワークグループと子会社の1つである(株)トライコムワークスではソフトバンクとのビジネスを行っておりますが、22年9月にジャパンネットワークがトライコムワークスを吸収し、11月には新たに1社を設立します。ここで行おうとしているのはオーナー系不動産やファイナンスのビジネスで、これまで手がけてきたモバイル関係とは大きく異なる業界になります。

(株)グローバルセレクションでは
携帯電話に関する
アクセサリー、アイテムを取り扱う

    ビジネスの世界において「永遠に安泰」の業界など存在しませんので、世相の変化に合わせて姿かたちを変えられる組織でありたいという思いがあります。先代との間でも「『ずっと』は無理だから」と話していました。

 さまざまな業種をグループ内に、かつコアとなるジャパンネットワークグループと同じ規模にまでそれらを大きくしていきたいです。それによってグループ全体を支えられる柱をいくつもつくることができ、ひいてはグループ全体の組織力向上につなげられると感じています。

 ──競合の激しいモバイル業界で、貴社がここまで生き残ってきた理由は何でしょうか。

 齊藤 営業力はもちろんのこと、先代の経営者としての立ち居振る舞いにも理由があるのではないでしょうか。実は当社はこれまで何度も潰れかかっていて、私が入社してからも数回はその危機に直面していました。私自身も心配していましたし、時には税理士からも注意喚起を受けるほどでした。しかし、当時のクルー(店舗の販売員)が店頭販売に精力的に取り組み、経営陣もまた会社を潰さないように一生懸命に奔走していました。先代は危機的状況でも凛としていて、その姿を見ている私としてはなぜそのように振る舞っていられるかが不思議でなりませんでした。しかし、周囲の人間としてはその経営者としての後ろ姿が頼もしく映っていたのでしょう。総力を挙げて営業活動に取り組んだ結果、危機を脱し、会社は今も成長し続けることができています。

 ──代表交代については以前より構想があったのでしょうか。

 齊藤 先代は60歳で亡くなってしまったのですが、「63歳で交代する」と昔から話していました。なぜその年齢だったのは聞いていないのですが、私が35歳になるタイミングを見込んでいたのかもしれません。

 もともと、私のなかで「父の背中を追って社長になりたい」という思いはそこまでありませんでした。ただ、「先代が夢見ていた景色を私も見たい。その景色を一緒に見られるならなんでもいい」という考えがありました。どっちかというと役職はニックネームに過ぎないと思っているので、当時、役職をもっていなかったとしてもその仕事ぶりは変わらなかったのではないでしょうか。

基幹となるのは携帯電話の販売代理店運営事業
基幹となるのは携帯電話の販売代理店運営事業

    ──16年12月からは子会社2社の代表取締役を務められていますが、当時と現職との違いは感じられますか。

 齊藤 経営者として対応する規模感が変わっただけで内容としては変わらないのですが、1つだけ心理的な変化がありました。それは社員との距離感です。

 入社当時から店頭での販売を行ったり、オフィスで働く社員たちとともに内部の仕事を行ったりしていました。しかしそのような環境でも、彼らに対して「先代の仲間」という意識がどこか抜けずにいました。彼らからすると、私のことを「創業者の息子」と線引きするようなことはなかったと思います。私のなかで勝手に「仕事を手伝ってもらうのが申し訳ない」という思いがあり、見えない壁が一枚ある感覚でした。そのため、当時は自分の右腕的な社員に頼りがちでした。こうしてグループ全体の経営を任されるようになってからは、自然とこれまで感じていた壁がなくなり、社員に仕事を頼みやすくなりました。今ここにいられているのはすべて、ついてきてくれた社員たちのおかげです。代表取締役に就任してから1年経ち、改めて社員の存在にありがたみを感じます。

(つづく)

【文・構成:杉町 彩紗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:齊藤 拓也
所在地:福岡市中央区赤坂1-10-9
設 立:1996年1月
資本金:1,000万円
売上高:約120億円(グループ合計)
URL:https://www.japannetworkgroup.com/


<プロフィール>
齊藤 拓也
(さいとう・たくや)
1989年1月、福岡県飯塚市出身。近畿大学経済学部卒業後、2011年4月に新卒で(株)ジャパンネットワークグループに入社。16年12月からは子会社の2社で代表取締役社長を務め、21年9月よりグループ全体の代表となる。

(後)

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