2024年12月23日( 月 )

「免疫機能」の機能性表示食品に疑義、ASCONが公表

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 第三者の立場から、消費者庁が公開した機能性表示食品の届出資料をチェックしている(一社)消費者市民社会をつくる会(ASCON)のASCON科学者委員会は27日付で、「免疫機能の維持」をうたうキリンホールディングス(株)の商品に対し、有効性の研究方法に疑義が寄せられたと発表した。

 疑義が寄せられたのは、『キリン iMUSE professional(イミューズ プロフェッショナル) プラズマ乳酸菌サプリメント』。「プラズマ乳酸菌はpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています」と表示している。

 ASCON科学者委員会では、事業者が自社の届出資料を自ら評価した結果をチェックし、評価成績を公表。事業者自らの評価に対し、一般消費者や業界関係者から意見を公募している。その結果、同商品に対する疑義が寄せられたという。

 指摘されたのは、免疫と体調に関する全身の自覚症状への影響を報告した複数の研究論文の内容。被験者の累積発症日数を評価することによって、プラズマ乳酸菌の摂取グループと非摂取グループの有意差を報告しているが、「統計解析方法が不適切」としている。

 グループで合算した累積発症日数は個人のバラツキが考慮されておらず、統計学的に有意差が出ても、一部の極端な人がどちらかのグループに片寄っていたことで、偶然出た可能性もあると指摘。複数の統計解析の専門家に確認したところ、この手法が不適切とする意見が聞かれたという。

 疑義に対して、同社からは具体的な説明がなかったとし、ASCON科学者委員会は「この指摘を極めて重大なものと考え、具体的に回答すべきと信じます」とのコメントを出した。

【木村 祐作】

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