佐賀牛の希少部位で勝負〜唐津・カルネスタ
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佐賀県唐津市の中心街にあるレストラン「唐津 孤高の肉バル カルネスタ」。「孤高」と名の付くところが気になるが、シェフ兼オーナーの馬場孝さん(47)の心意気が伝わってくる。「牛肉の美味しさを味わってもらいたいが、佐賀牛のステーキは高くつく」。そこで考えたのが希少部位。各部位それぞれの焼き方を見つけ出し、できるだけジューシーになるよう工夫する。塩や醤油などは一級のものを使い、比較的安く、一流の肉を食べる実感をお客さんに提供する。かくして、「孤高」となったのである。
カルネスタは週休2日制。馬場さんは、そのうちの1日を研究日にして、全国各地の飲食店仲間と会って意見交換をする。つい数週間前には北海道まで行って、世界で唯一の非加熱殺菌の生乳の製造現場を見学してきた。本物の味を追求する道産子たちとの交流も楽しんだという。
馬場さんは決して「美食オタク」ではない。さまざまなことに興味をもち、19歳のときには潜水士の国家資格まで取っている。以前は、しばらく潜水士として働いており、またアパレルにも興味があり、全国チェーンの洋品店「COMME CA(コムサ)」で15年働いた。コムサ時代はお客さんの希望と体格、肌の色などにあった服を選定する才能が開花し、売り上げを大幅に向上させた。系列内で評判となり、県内各所の店舗の店長を務めたそうだ。15年間に14店舗というから、大変なものである。
アパレルにしろ、レストランにしろ、お客さんに少しでも人生を楽しんでもらえることが大事だと馬場さんはいう。「人類は原始時代から食を共有し、美しい服や装飾品を身につけることを求めてきたのだから、衣と食は人生を豊かにする基本なんです」(馬場さん)。
奥さんと2人で経営するレストランには心地よいジャズが昼から夜までずっと流れている。このぬくもりが佐賀牛のやわらかな味とともに身内に染み込む。クラフトビールの種類も半端ではなく、ノンアルコールビールも豊富。ワインの選定も見事である。馬場さんの研究熱心さがこうしたところでも光っている。
今冬には2店舗目もオープンさせる。こちらは豚肉主体で、カレーとトンカツという国民食に徹しつつ、味に独自の工夫を凝らすという。国道497号唐津インター近くで、駐車場も完備する。1店舗目の「カルネスタ」がまちなかの店だとすれば、こちらはドライブインのようなもの。対照的な店舗づくりをする事業展開は興味深い。
【大嶋 仁】
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