2024年12月22日( 日 )

ロボット産業の拡大と韓国企業の競争力(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

ロボットの需要は増加の一途

産業用ロボット イメージ    工場の自動化や物流現場の無人化、身障者向けのサポート、介護業務などにロボットを導入する事例が増えている。今後、AIやIoTの発展、センサーの低価格化・高性能化にともない、ロボットはさらに大きく進化すると予想されている。

 自動車工場では、すでに機械の組み立てだけでなく、塗装などもロボットに置き換わっている。さらに、難易度の高い外科手術や、ガンの診断、料理、介護、ペットの世話に至るまで、さまざまなことを人間のかわりにロボットがこなせるようになった。

 ロボットは、これまで人の手では難しかったこと、危険だったこと、コストが高すぎたこと、面倒だったこと、緻密にできなかったことをすべて肩代わりしている。とくにコロナの感染拡大で人材確保が難しかった時期、工場では産業用ロボットの普及が急ピッチで進むこととなった。

 韓国の経営者団体・全国経済人連合会によると、1万人あたりのロボット数を意味する「ロボット密度」において、韓国は932台を記録し、世界でロボット需要が最も多い国となった。「ロボット密度」の世界平均は126台で、日本は390台、ドイツは371台、米国は255台、中国は246台となっており、韓国のロボット密度がずば抜けて高いことがわかる。

ロボットの種類と市場動向

 ロボットは大きく分けて、産業用ロボットとサービスロボットの2種類がある。産業用ロボットとは、主に製造業において製品の組み立てや溶接、塗装、出荷などを担うロボットのことで、現在世界で350万台超が導入されている。産業用ロボットの歴史は古く、1954年にアメリカで初めて産業用ロボットの特許が出願されたという。日本でも、高度経済成長期の68年に産業用ロボットの国産化がスタートし、70年代には自動車やプラスチック、電子・電気機械など、さまざまな業界でロボットの導入が進められた。その結果、日本は産業用ロボット分野において世界をリードする国となった。

 産業用ロボットは、AIを活用していくことで、ティーチングなしで従来よりも精密な作業が可能となったり、故障予測が可能となったりするなど、活用の場が広がっていくだろう。ロボットはデータを実行に移すことを担っているので、第4次産業革命が進むにつれて、ますます重宝されるようになる。

 サービスロボットは、人間に何らかのサービスを提供するロボットのことで、身近なところで言うとロボット掃除機などが挙げられる。その他、料理ロボットを始め、コーヒーをいれてくれるロボットなど、さまざまなロボットが登場している。筆者の知り合いは子どもに英語を教えるロボットを開発していたが、あまりに人間そっくりだったため、びっくりさせられた記憶がある。

 今後もサービスロボットの活用は広がっていくだろう。とくに、人間が働くのが困難な場所、危険な場所におけるサービスロボットの導入が期待されている。たとえば、火事や事故、災害などの現場では危険が伴うが、そこにサービスロボットを活用できれば、人間のリスクを低減することにつながる。

(つづく)

(後)

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