2024年07月28日( 日 )

3年ぶりに中洲の街が華やぐ 中洲ジャズ開催秘話(前)

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中洲JAZZ実行委員会 中間 浩史 氏

 2009年に始まったストリートライブ「中洲ジャズ」が、9月17日・18日に開催された(「NAKASU JAZZ 2022〜as usual」)。台風の接近にともない、18日の開催はスケジュールを変更し、オンラインでの配信となったが、リアルイベントでの開催は実に3年ぶりだ。中洲JAZZ実行委員会の中間浩史氏に、今回の開催の秘話をうかがった。

開催に至るまでの思い

中洲JAZZ実行委員会 中間 浩史 氏
中洲JAZZ実行委員会 中間 浩史 氏

    ──2020年、21年はどんな2年間でしたか?

 中間浩史氏(以下、中間) 20年はオンライン配信で、21年も一部有観客とオンラインの併用で開催しました。前提として、中洲ジャズは中洲を盛り上げ、安全安心なまちづくりと観光コンテンツの創造を目指すイベントです。つまり、配信だと中洲に人が来ないので、本来のコンセプトとずれてしまっていました。しかし、中洲ジャズを中止してしまうと再開が難しそうだと思ったため、昨年と一昨年はやむに止まれずオンライン配信というかたちをとりました。そういう意味で今年は開催できて感激もひとしおです。20年も21年も開催できるように計画していましたが、まさかコロナがここまで長引くとは思いませんでした。通常、毎年1月に実行委員会で開催の可不可を話し合い、3月・4月ぐらいには出演アーティストもほぼ決まるのですが、今年は開催決定が3月末になり、準備に苦戦しました。

 コロナ禍のライブには演者たちも慣れているようでしたが、感染者数の状況によっては開催中止になることもあるため、そういう条件のもとオファーしました。昨年と一昨年のオンライン配信でも福岡に演奏しにきてもらっていたため、できれば観客の前でやりたいというアーティストが多かったです。

 ──開催にあたって不安なこともあったと思います。

 中間 運営としては、コロナは収まってきているものの、来場者数の点では不安でした。ジャズフェスはロックフェスなどと比べると、来場者の年齢層も高いため、感染症を警戒して客足が遠のくのではないかと思いました。しかし、「今年はやります」とSNSやホームページでアナウンスすると反応がよかった。そういう意味では、いつも通りではないにしろ、それなりにきて楽しんでいただけるだろうという期待はありました。

大盛況の2日間

中洲JAZZ

 ──17日は来場者が多く、非常に盛り上がっていましたね。

 中間 例年はもっと多い印象です。放生会が同時開催していたことも大きかったでしょう。来場者はみな嬉しそうで、開催してくれてありがとうという言葉をたくさんもらえました。9月は「福岡ミュージックマンス」など、多数の音楽イベントが行われましたが、そのなかでもリアルで行ったのはうちだけだったため(九州ゴスペルフェスティバルはクローズドでの開催)、お客さんから「よく開催しましたね」と言われました。準備には半年ぐらいかかるため、早めに決断してよかったと思います。

 2日目の18日は台風の影響で屋外での公演を中止としました。15日の段階で「オンライン配信はできるんじゃないか」という話が出て、その日の夜には福岡中のライブハウスに会場が空いていないか確認の電話を入れ、16日に正式決定しました。アーティストに出演可能か交渉したところ、「中洲ジャズで演奏する気だったから、それを披露せずに帰るのはもったいない」と逆に喜んでくれました。

 全ステージのトリを務めるような豪華な6組のアーティストがオンライン配信に出演してくださったため、YouTubeライブで同時閲覧が4,800人くらいまで到達しました。また、総合アクセス数は4万を超え、好意的なコメントも多数流れました。台風でどこにも行けなくなった方に多く見ていただけたのでしょうね。さらに驚いたのが、県外の方もたくさん観にきてくれたことです。これはアーティストも含め、多くの方がSNSで発信してくれたからだと考えています。

 ──オンライン配信がうまくいったのですね。

 中間 オンライン配信については、昨年と一昨年の知見を生かせました。コロナがあったからこそ、設備やスタッフの人数、どのくらいの規模感があればできるかがわかっていました。

 とくに、テレビ局並みのカメラをそろえられたことが大きいです。これが2日で準備できるのはうちぐらいだと思います。例年、KBCさんとタッグを組んでつくり上げているため、今回もお願いしました。YouTubeのプラットフォームはKBCさんのサイトを使い、機材も貸していただきました。

(つづく)

【吉村 直紘】


<プロフィール>
中間 浩史
(なかま・ひろふみ)
1972年2月生まれ。福岡県糟屋郡篠栗町出身。ITインフラ構築関連事業を行うSABERの代表。中洲ジャズでは運営専務として、現場の責任者を務める。

(後)

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