『脊振の自然に魅せられて』露を付けたミゾソバとノコンギク
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名もない花と言ったら花に失礼だが、野の花もきれいな表情を見せてくれる。
脊振山頂の駐車場下のグランドは、今はオートキャンプ場となり手軽に山の雰囲気を味わえる場所となっている。そんなキャンプ場の周辺は樹木や野の花が賑わいを見せ場所でもある。秋はミゾソバやノコンギク、タデ、ゲンノショウコなどが咲く。花に興味のない人は、ただの雑草の花が咲いているとしか思わないだろうが、筆者には素敵な花なのだ。
今年、9月28日に山頂駐車場に車で訪れ撮影を開始。前日に雨が降り、また当日は曇り空であった。雨上りは筆者にとって絶好のシャッターチャンスである。曇り空は花に太陽の陰影がなく最高の撮影日となる。そして、雨露をつけた花たちにレンズを向けファインダーを覗いてみると、神秘的な光景が目に飛び込んでくるのである。「きれいだ」と思った瞬間に筆者はワクワクし、「感動の一瞬」が生まれる。そしてシャッターを押す。
グランドの端を歩いてみるとピンク色のミゾソバがたくさん咲いていた。この日は久しぶりにニコンのデジタル一眼レフを持参し、ソニーのミラーレスカメラと併用することにした。メーカーがそれぞれ違うのでカメラ操作が同じではない。まずはソニー製のミラーレスカメラにマウント変換をしたニコンのマクロレンズを装着(メーカーによってマウント部の形状が違うので、変換金具を利用する)。写真になりそうな花を探す。同じ花でも、それぞれ咲き具合や姿、形が違う。筆者は花のコンテストの審査員になるのである。
腹ばいになるためビニールシートを広げ小型三脚にカメラをセットする。シャターブレ防止のためレリーズを使う。しかし使う頻度が多く、かつ山で雑に使ったのかプラグを入れてもうまく作動しない。最近は時々不具合が生じるようになった。あきらめてセルフタイマーを使うことにした。セルフタイマーを使うとシャッターブレは防げる。この日は風が少し吹いて花が揺れている。あとはカメラ任せである。マウント変換しているので操作はマニュアルである。ファインダーを覗きピントを合わせる。7月に右目の眼底出血がわかりレーザー治療をした。視力が落ちピント合わせが難しくなっていた。うまく撮れてくれよ。筆者は祈るようにシャターを押した。10回ほどセルフタイマーで撮影してみる。風で花が揺れうまく撮影できていない。より大きく撮影ができるマクロレンズに交換し撮影を続けた。
ミゾソバの撮影を終え、ノコンギクが咲いている方へ移動した。ミゾソバと同じように雨露をたくさん付けて咲いていた。形の良い花を探す。数枚撮ったところで、電池がなくなりますとカメラが表示してきた。予備の電池に交換するが、しばらく充電していなかったので残量ゼロになっていた。仕方なく、ニコンの一眼レフに切り替えて撮影。こちらもマニュアル撮影は動作不良。仕方なくオート操作のできるレンズに交換し撮影開始。マクロ撮影機能はあるもののバックのボケ具合が違う。単なる記録撮影になった。トラブル続きの撮影日であった。それでも神秘的な光景を見せてくれた花たちに感謝した。
ここから直ぐ近くのブナの林に入ると、一帯は霧で覆われブナが霧のシルエットのなかに佇んでいた。静かで幻想的な世界だった。感動を覚えつつ九州自然歩道の縦走路を金山方面へ歩いた。30分ほど歩き、いつも休憩する場所でザックを下ろした。場所の周辺を歩いてみると感動の対面があった。脊振山系で初めてみる秋の花に会えたのである。
―次回をお楽しみにー
帰宅してデータをパソコンに取り込むと思わぬ写真が1枚あった。
露が丸い簪となってミゾソバの花に乗っていたのである。脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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