日本復元のカギは縄文道にあり 世界遺産の縄文遺跡を訪ねて(後)
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(一社) 縄文道研究所
代表理事 加藤 春一 氏北海道・北東北の縄文遺跡群を視察し、縄文文化が人類の未来に残すべき価値があることを実感した。その最大の価値は狩猟、漁労、採集生活者が、世界で唯一、独自の自然環境との共生、共存、平和で平等な文化を1万年以上にわたり形成したという歴史的事実だ。SDGsは縄文文化によりすでに実証済みだといえる。縄文道を提唱する者として、世界に伝搬する必要性を感じた意義ある視察となった。
縄文文化を見直し、アナログを取り入れた変革を
(5)DXを活用すること。21世紀に入り、世界経済のグローバル化が加速し、さらに情報通信革命、とくに近年のDXにより、企業での働き方は根底から変わってきている。とくに新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、オンラインでの仕事・授業が可能になった。加えてスマートフォンの発達により、人間は正に地球上どこにおいても業務の打ち合わせ、会議、営業、交渉を行うことが可能になった。
筆者も現在アメリカ、ヨーロッパ、時にはアフリカの相手とZoom会議で業務を遂行している。縄文道の講演も依頼を受けるが、コロナを考慮し、約70%はZoomでの講演になっている。座禅の修行も毎週オンラインで行っている。集団での座禅修行が、家庭において、しかも海外とネットワークで繋いで、時差を乗り越えて可能な時代でもあるのだ。
(6)アナログさを大事にすること。コミュニケーションの手段がDXによって変わり、働き方自身が根底から変わった世界にいながら、日本が先進国から後れをとり停滞していることの理由が日本の歴史の知恵に隠されている。そのカギは、日本人には縄文時代からアナログな人間感覚が備わっていることだ。
日本人は、対面で意思、意見、感情を伝え、言語化された部分も非言語化の阿吽の呼吸の部分も分かり合えるアナログなコミュニケーション能力において秀でている。オノマトペの日常的使用も能力の一部だ。今後の世界は、デジタルとアナログを如何に融合化して、特有の文化に基づく経済的アウトプットを出せるかにかかっていると思う。かかる意味で、日本人は縄文文化をもう一度見直すべき時を迎えていると考える。
(7)縄文文化による意識変革を図ること。日本の伝統的な仕事のシステムとサラリーマン化したマインドに覆われた企業文化を根底から変えなければならない状況にある。この状況を変革するためには、縄文道を通じて縄文文化を理解して日本人としての誇りを回復させる。そして日本人の職業に対する意識を変革させる。
多くの若者がサラリーマン化しているマーケットにおいて、真のプロの経済人に成長してもらうきっかけとして天職志向に意識を転換する必要がある。
おわりに
北海道、北東北の世界遺産遺跡を訪問し、日本人として縄文文化というすばらしい歴史を有していることに誇りをもつことができた。日本の若者にぜひそのすばらしさを認識してほしいとの思いを胸に抱いた。
岸田政権は「新しい資本主義」において、真の「人づくり」への本格的投資を提唱している。従来の市場においては転職の志向が尺度となっていたが、時代環境は真の天職志向へと転換するさなかにある。天職志向へと意識と行動を転換させることが必要な時代が到来しているのだ。
日本の復元のために、言葉と意識の関係を重視して変革すべきことを指摘した。以下の言葉の使用が、意識変革へとつながることを願う。
「縄文文化―温故知新、縄文道」の認識へ
日本人としての愛国心と誇り
「人材」から「人財」へ
「教育」から「啓育」へ
「転職」から「天職」へ
「偏差値」から「統合値」へ
「membership 型」から「job 型」へ
「サラリーマン意識」から「プロフェッショナル意識」へこれらを具体化していく覚悟が、全日本人に必要だ。意識面と行動面において転換できた人財は「新縄文人」である。「新縄文人」は自立、自助、自責の精神をもち、世界のどこでも仕事ができる、強く、逞しく、したたかな人財でもある。日本の復元を考えるうえでもっとも本格的な「人づくり」への取り組みである。政府、民間企業、教育機関、塾、予備校、言論界を含め、日本人が具体的に実行を移す絶好のタイミングが到来したと認識している。
日本の真の「人づくり」のプロジェクトに、温かい支援をお願いしたい。日本を活性化し復元させるために。
(了)
<プロフィール>
加藤 春一(かとう・はるいち)
1944年満州大連にて日本の陶祖加藤藤四郎景正の末裔(23代)として生まれる。68年上智大学経済学部卒、日商岩井にて資源ビジネスに30年間従事。西豪州代表、ベルギー・ブリュッセル製鉄原料部門欧州代表、この間に5大陸56カ国訪問。98年東京エグゼクティブ・サーチ入社、2000年社長就任(08年まで)、16年顧問。同年(一社)縄文道研究所創設、代表理事に就任。明治大学公開講座講師、上智大学非常勤講師、兵庫県立大学大学院客員教授を歴任。著書に『能力Qセルフ・プロデュース』(ビジネス社)、『グローバル人財養成塾』(生産性出版)、『世界一美しいまち―オーストラリア・パースへのいざない』(「めいけい出版)ほか多数。法人名
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