2024年12月23日( 月 )

九州地銀グループの実力度を検証(1)

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fukei_fukuoka 九州地銀18行のうち、グループ(FG)の銀行は、ふくおかFGの福岡・熊本・親和の3行、西日本シティ銀行グループの西日本シティ・長崎銀行の2行、今年10月に経営統合して発足する九州FGの肥後・鹿児島銀行の2行、それに山口FGの北九州銀行と合わせて計8行となっている。
 このほかにふくおかFGから社長が派遣されている福岡中央銀行(福岡市)、また西日本シティ銀行グループと緊密な豊和銀行(大分市)の2行を加えると、グループに所属している銀行は実質10行となる。

 一方、独自路線を維持しているのは、第一地銀では大分・十八・宮崎・佐賀・筑邦銀行の5行。第二地銀では南日本・宮崎太陽・佐賀共栄の3行で計8行。ただ問題はこの8行が今のままで生き残れるかどうかだ。人口の減少に伴う地域経済の縮小は加速度的に進んでおり、もはや時間的な猶予がない環境にあるのも事実だ。
 今まで九州の覇権争いを繰り広げていたふくおかFG と西日本シティ銀行グループの間に、九州FGが割り込んだ形だ。この第三勢力の台頭は残された8行にとって、今までのような安閑とした経営は許される状況になく、今後急ピッチで経営統合の道を模索していくものと推測される。
先行する3グループにとっても、その組み合わせ次第によっては、九州地銀の覇権争いに大きな影響が出るものと思われる。そのキャスティングボートを握っているのは、意外にもこの8行であると言っても過言ではないのかもしれない。
 これから【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算から、18行の実力を見た上で、九州地銀グループの実力度の検証を進めていくことにしたい。

(1)福岡銀行

・預金残高トップの福岡銀行は、貸出金残高・当期純利益を含む3部門で、2位以下を大きくリードしており、今のところ絶対的な地位を確保していると言えよう。
・預金残高は9兆1,244億円(前期比3,966億円増)。前期比4.5%で地銀平均の3.8%を大幅に上回っており、近々10兆円超えが視野に入ってきている。
・ここで目立つのは貸出金残高である。前期比5,181億円増(前期比7.2%)で、地銀平均の5.7%を大幅に上回っている。そのため自己資本比率は10.72%から9.71%と下がったものの、2位の西日本シティ銀行に1兆4千億円近い差をつけており、また九州FGの4兆9,822億円(単純合算)に対して2兆2,630億円と大差をつけている。このまま福岡銀行の独走態勢を許せば、一強多弱の中、グループ外の銀行は「座して死を待つ運命」にあると言えるのかもしれない。
 いよいよ九州地銀の金融再編は、金融当局の意向とふくおかFGの中枢を担う福岡銀行の動向を睨みながら、進められることになりそうだ。

(つづく)
【北山 譲】

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