2024年11月24日( 日 )

第5回・国際伝統・新興医療融合協会国際学会が開催(前)

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 第5回・国際伝統・新興医療融合協会国際学会(主催:国際伝統・新興医療融合協会、共催:日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS)、後援:人間自然科学研究所、(株)データ・マックス、DEVNET INTERNATIONAL)が10月13日、リアルとオンラインのハイブリッドで開催され、総計約100名が参加した。主な講演内容を紹介する。

100歳まで生きる人の秘訣

溝尾朗医学博士・国際伝統・新興医療融合協会会長
溝尾朗医学博士
国際伝統・新興医療融合協会会長

    『健康長寿と融合医療』をテーマに、溝尾朗医学博士・国際伝統・新興医療融合協会会長による講演が行われた。

 日本は、世界でも100歳以上の高齢者(百寿者)が圧倒的に多く、なかでも地域別に見ると四国、九州、中国地方は100歳以上の高齢者の割合がとくに高い。健康長寿をまっとうするためには、(1)体の防御反応である炎症が起こるのを防ぎ、(2)血糖値が上がりやすい食事を摂らず、(3)活性酸素が過剰に増えすぎるのを防ぐことが大切だ。100歳以上の高齢者は、糖尿病と肥満が非常に少ない。また食事では、約90%の人が毎日野菜を食べている。タンパク質は魚、大豆で摂り、肉類は少ない。

 血糖値が上がりやすい食品を摂るほど心臓病や脳卒中、死亡のリスクが高まることもわかっている。トマトやピーマン、ナスなどの多くの緑黄色野菜、豆腐、納豆、リンゴ、ミカンなどの果物など血糖値が上がりづらい食品(低GI食)を摂ることで、心臓病や脳卒中のリスクを減らし、死亡率を下げられる。

 「健康長寿のためには、まず食事に気を付けることが大切です」(溝尾氏)。

 また、食物繊維の多い食品を摂ると腸内の善玉菌が増えやすくなる。納豆や味噌などの発酵食品を摂ると腸内細菌の多様性が増し、体の防御をつかさどる炎症反応の調節において大切な役割をはたす「インターロイキン-6 (IL-6)」が減る。つまり、腸内細菌が結果として炎症を抑えるということだ。アジアの長寿国である日本、韓国、シンガポールには発酵食品をよく食べる食文化があることからも、発酵食品に健康効果があることがわかるだろう。

食事は健康の素

 『医食同源について』をテーマにして、中村信也医学博士・東京家政大学名誉教授による講演が行われた。

 「医食同源」とは、食の乱れにより病気が起こるという意味の言葉だ。日本は第二次世界大戦後に高度成長期に入り、飽食の時代になった。それまでは死因の多くが感染症であったが、飽食の時代になると心臓病、ガン、脳卒中などの成人病(後の生活習慣病)で亡くなる人が増えた。

 人はなぜ病気になるのだろうか。いくつかの関連した因子が重なって生じる「多元論」によると、遺伝や性格、年齢などの本来持ち合わせている「内因」に、食事や運動などの生活習慣やこころ、環境などの「外因」が重なると病気になるという。

 「感染症である結核も、結核菌があるからうつるのではありません。これらの状況が重なったごく一部の人が実際に結核になり、そうでない人は結核菌があってもうつらなかったという事例もあります」(中村氏)。つまり、病気は生活習慣を見直すことである程度、防ぐことができる。中村氏は「病気の成りやすさは、食事により大きく影響されます。自然で加工していない食材を摂ることが大切です」と語った。

多くの薬を飲む場合の副作用リスク

 吉村吉博・星薬科大学客員教授の『予防は最大の医療なり』をテーマとする講演では、多くの薬を飲んでいる人は副作用のリスクが上がるという発表があった。

 65歳を超えると7つ以上の薬を受け取る人の割合が増える。なかでも75歳以上で薬を使っている人では、約4人に1人は、1つの薬局で1カ月に7種類以上の薬を受け取っている。

 「薬が6種類以上になると、副作用を起こす割合が10~15%にまで高まることが分かっています。薬の副作用として、高齢者の場合は、ふらつき・転倒、物忘れ、うつ、せん妄、食欲低下、便秘、排尿障害などが挙げられます。薬を飲むならなるべく5種類までにして、むやみに薬をほしがらないことが大切です」(吉村氏)。

幹細胞を用いた再生医療

 『再生医療~新たな未来へ』をテーマに、尾張栄治氏・(株)金太郎Cells Power顧問による講演が行われた。

 金太郎Cells Powerは再生医療に用いられる骨髄由来の幹細胞「金太郎細胞」の製造を手がけており、アジア諸国を中心に3,000件以上の施術例があるという。幹細胞とはすべての細胞の元となるものであり、自分とまったく同じ細胞になることができる「自己複製能」と、細胞分裂することでさまざまな細胞になることができる「分化能」をもつ。体内の幹細胞は新生児で100%とすると、10代で10%、30代で4%、50代で2.5%、80代で0.5%となり、加齢とともに減少する。そのため、減少していく幹細胞を補うことで健康に役立つという。

(つづく)

【石井 ゆかり】

(後)

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