2024年11月22日( 金 )

第5回・国際伝統・新興医療融合協会国際学会が開催(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 第5回・国際伝統・新興医療融合協会国際学会(主催:国際伝統・新興医療融合協会、共催:日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS)、後援:人間自然科学研究所、(株)データ・マックス、DEVNET INTERNATIONAL)が10月13日、リアルとオンラインのハイブリッドで開催され、総計約100名が参加した。主な講演内容を紹介する。

タイ、瞑想による心のケア

 タイ心身健康医療法を取り入れた『心のウェルネス(Wellness of mind)』をテーマにして、Phra Pawithai Vajiravijjo・タイ・医学博士による講演が行われた。

 Phra Pawithai Vajiravijjoは、タイ・チェンマイにある「パ・パエ・瞑想リトリート(Pa Pae meditation Retreat)」を創設し、僧侶として心の健康に保つための瞑想を指導している。Pa Pae meditation Retreatでは、参加者は緑豊かな森林に覆われた開放的な自然環境のなかで、僧侶の指導のもと、自然とつながり、心の平和を保つ瞑想を学んでいるという。

伝統医療・アーユルヴェーダの役割

 Anil Basotra・インド・アーユルヴェーダ研究家により、『自然療法とアーユルヴェーダ』をテーマにした講演が行われた。

 自然療法や5,000年以上の歴史をもつインドの伝統医療であるアーユルヴェーダは、さまざまな病気を治療、予防するためのホリスティック医療として用いられている。ホリスティック医療は、体の一部分を見るのではなく、体や心など全体を見てアプローチする。
インド伝統医療は病気を治療するだけでなく、生命の在り方を体全体で捉えている。なかでも、アーユルヴェーダは、体のバランスに着目したホリスティック医療だ。健康、ウェルネス(より良く生きようとする生活態度)、体のバランス、心、魂に注目し、伝統的な薬を用いて、全体のバランスを治すことによって病気に対処する。ヨガや瞑想、食事の調整、ハーブの薬、セラピーなどが用いられる。

 「人の体には、病気を治すためのすばらしい自然治癒力があります。自然療法により、自然治癒力がよく働くようになり、健康でいることができます」(Anil Basotra)。

静脈内投与法(IV療法)

 『静脈内投与法(IV療法)による加齢減速法』をテーマに、Alexandra Dietz・スイス医師による講演が行われた。

 近年、健康に害をもたらすものとして注目されているストレスは、疲労、高血圧、不安、不眠症、感染症、うつ病などの原因となる。Alexandra Dietz博士は米国の医師ジョン・マイヤーズが考案したビタミンやミネラル、アミノ酸を静脈に点滴することで体調の改善効果を期待する「マイヤーズカクテル点滴療法」などを用いたIV療法を行うことで、ストレスなどを原因とする症状で悩んでいた患者に対して「98%の割合で、よい結果が得られました」と語った。

ウェルネス都市、タイ・チェンマイ

 『ウェルネス都市、チェンマイのホリスティック医療』をテーマに、P. Kanika・タイ・チェンマイ大学教授による講演が行われた。

 チェンマイは首都バンコクに次ぐ、タイ北部の第二の都市であり、伝統ある観光地としても知られる。チェンマイでは、メディカルツーリズムが行われており、スパやタイ古式マッサージを体験するために訪れる人も多い。

 P. Kanika教授は「現代医療と、タイの伝統医療などの西洋医学を補う『補完医療』を組み合わせることが大切です」と語る。タイ古式マッサージ、はり治療などの補完医療は健康を増進し、病気を予防し、症状を和らげる効果がある。

 「チェンマイを含むタイ北部では高齢化が進んでいます。地域の知恵や環境、自然由来の製品、現代医学を組み合わせて用いることで生活の質(QOL)を高め、健康増進や病気予防に力を注ぐことが必要です」(P. Kanika教授)。チェンマイは、タイ政府も含めた官民連携により、心と体を良い状態に保つ「ウェルネス都市」としての取り組みを行っているという。

中川十郎・日本ビジネスインテリジェンス協会理事長
中川十郎
日本ビジネス
インテリジェンス協会
理事長

  最後に中川十郎・国際伝統・新興医療融合協会理事長による閉会の挨拶が行われた。

 中川理事長は「国際伝統・新興医療融合協会は、世界初の無血人工心肺や冠動脈バイパス手術などを開発し、世界120カ国で約3万人に手術を行った世界的に著名な心臓外科医である故・広瀬輝夫元ニューヨーク医科大学臨床外科教授により創設されました。第5回国際会議では、現代の最新医療に加え、現代医療の問題点、漢方医療、医食同源の問題などのほか、新興医療について多くの発表があり、海外からも伝統・新興医療専門家7名がご参加くださいました。広瀬先生の遺志を引き継ぎ、今後ともさらなる研鑚を皆様とともに続けたいと思います。今後とも皆さまのご協力、ご指導をお願いいたします」と語った。

(了)

【石井 ゆかり】

(前)

関連記事