これから加速化する地銀の経営統合(4)
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今までは全国地銀(99行)の経営統合を検証してきたが、これから九州地銀の経営統合を検証することにしたい。
【表1】は九州地銀の経営成績推移表である。
(1)九州の金融グループ3社の23年3月期(通期)の当期純利益(予想)順位表について
◆1位は前期と同様にふくおかFGで570億円(前期比2,882百万円増)で、前期比+5.3%。
・2位は前期同様に西日本FHで250億円(前期比8,345百万円増)で、前期比+50.1%。
・同じく2位は九州FGで250億円(前期比16,717百万円増)。前期比+201.8%と大幅な増加予想となっている。
・3社の合計は1,070億円(前期比27,944百万円増)で、前期比+35.3%となっている。
・参考までに北九州銀行を傘下に置く山口FGは前期の赤字から、170億円(前期比16,717百万円増)。次は(2)九州の金融グループ3社の23年3月期(通期)の当期純利益(予想)順位表について検証していくことにしたい。
◆1位~3位までの順位前期比との変動はないが、前期5位だった鹿児島銀行が4位の110億円で、十八親和銀行の106億円を上回っている。
・6位は宮崎銀行。7位は前期8位だった熊本銀行が45億円で大分銀行と同じ予想となっている。
・9位は佐賀銀行。10位は前期16位だった北九州銀行。以下、11位豊和銀行、12位南日本銀行、13位は宮崎太陽銀行と筑邦銀行がともに7億円の予想。
・15位は福岡中央銀行、16位は佐賀共栄銀行、17位は長崎銀行、18位はみんなの銀行となっている。
◆ここで注目したいのは北九州銀行・筑邦銀行・みんなの銀行を除き、7位の大分銀行以下9行の地銀が前期比マイナス。内訳は第一地銀2行で第二地銀が7行。第二地銀の経営が厳しい状況となっているのが読み取れる。まとめ
【表2】は九州の人口推移表である。
◆九州の2022年9月1日現在の推定人口は12,644,500人。1年間で96,347人の減少となっている。
・福岡県の人口は5,118,624人。福岡県に本店がある地銀はインターネット専業のみんなの銀行を除くと5行で1行あたりの人口は1,023,725人。
・熊本県は171万8,417人で、1行あたりの人口は859,209人。
・鹿児島県は1,564,175人で、1行あたりの人口は782,088人。
・長崎県は1,283,569人で、1行あたりの人口は641,785人。
・大分県は1,106,495人で、1行あたりの人口は553,248人。
・宮崎県は1,052,337人で、1行あたりの人口は526,169人。
・佐賀県は800,883人で、1行あたりの人口は400,442人。
◆九州全体でみた一行あたりの人口は743,794人。これを下回っているのは長崎県・大分県・宮崎県・佐賀県の4県で、銀行が過剰であることを示している。
・長崎県の十八親和銀行と長崎銀行の2行は金融グループ傘下行であり、当面問題はなさそうだ。
・大分県は単独の大分銀行と豊和銀行の2行。宮崎県も単独の宮崎銀行と宮崎太陽銀行の2行。また佐賀県も佐賀銀行と佐賀共栄銀行の2行となっており、合併または経営統合すべきとの証と見られる。
同一地域の地域銀行同士の合併に独占禁止法を適用しない特例法が2020年11月27日に施行されており、合併における障害はなくなっている。
◆今後、地銀は業務提携・資本業務提携・持株会社に経営統合・合併のいずれかの道を選ぶことになる。
このなかで、SBIホールディングスが、2019年9月に「第4のメガバンク構想」を掲げ、地銀との資本業務提携を積極的に進めている。
第一地銀は3行(筑波銀行・清水銀行・筑邦銀行)。第二地銀は6行(きらやか銀行・福島銀行・仙台銀行・東和銀行・大光銀行・島根銀行)の9行となっている。
九州では筑邦銀行が資本業務提携しており、これから地銀の経営統合は加速化するものと予想される。(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】
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