2024年12月22日( 日 )

オーガニック給食無償実施を

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「すべての公立小中学校でオーガニック給食の提供を」と訴えた10月24日付の記事を紹介する。

10月26日に「全国オーガニック給食フォーラム~有機で元気!~」が東京都中野区のなかのゼロ大ホールで開催される。

https://morinohito.net/information/4455/

https://bit.ly/3VVtmRt

化学肥料を使わない豊かな土壌は、食物にミネラルなどの栄養を与え、手づくりの発酵食は健康の要である腸内環境を整える。

子どもたちの健康を願う親や教育者、そして地域の市民が、地域産業の育成や地方創生を目指す自治体と共鳴し、有機や自然栽培の食材を取り入れた「オーガニック給食」の導入を目指している。

私たちの食の環境は日増しに悪化している。

日本の食料自給率はカロリーベースで38%。

生存のために欠かせない食料を自前では調達できない状況にある。

「経済的安全保障」が論議されるが、その一丁目一番地に位置付けられるべき課題が食糧自給である。

政府の経済的安全保障論議はまったくの的外れなもの。

2012年12月の衆院総選挙に際して、自民党は

「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。日本を耕す!!自民党」

と大書きしたポスターを貼りめぐらせて選挙を戦った。

この選挙から3カ月も経過しない2013年3月15日、安倍晋三元首相はTPP交渉への参加を決めた。

国民を欺いてのTPP協議参加表明だった。

TPP協議から米国が離脱してTPP発効は不可能になった。

国会では米国離脱の可能性があり、批准を急ぐ必要はないとの意見が示された。

ところが、安倍内閣は2016年末にTPP批准を強行した。

その際、安倍内閣はTPP最終合意を見直すことはないことを明言した。

TPP最終合意内容を見直さない限り、米国が離脱した場合にはTPPを発効できない。

ところが、2017年1月に米国でトランプ政権が発足すると、その発足当日に米国はTPPから離脱した。

このTPP最終合意の変更を主導したのは日本政府だった。

国民を欺き続ける日本政府の姿が浮き彫りになっている。

TPP発効で日本農業の苦境がさらに進行している。

TPPは外国資本による日本人の食の支配、日本農業の支配を推進するもの。

同時に日本国民の食の安心と安全が脅かされている。

除草剤に含まれるグリホサートが発がん性をもち、人体に深刻な影響を与えることが米国の裁判所によって認定された。

米国ではグリホサート耐性を持つ遺伝子組み換え(GM)種子利用とグリホサート含有の除草剤の利用が顕著である。

TPP参加によってGM食物、グリホサート残留穀物の国内流入が拡大していると見られる。

TPPで米国産ステーキが安価に食べられるようになったとメディアがはやすが、米国産畜産物には成長ホルモンやラクトパミンが投与されている。

これらの物質の重大な有害性も指摘されている。

乳製品においても欧州産以外の乳製品生産に成長ホルモンが投与されていると見られ、日本国内で「食の安全と安心」が脅かされると警戒されている。

TPPや日欧EPA発効により、日本の酪農は存亡に危機に直面している。

国民が安全・安心の食料を安定的に確保できる条件が崩壊されつつある。

「地産地消」の運動が呼びかけられるが、TPPを推進するグローバル巨大資本はこれを打倒するためにTPP制度を活用することが想定されてきた。

韓国では身の回りで取れたものを食べることが健康に良い=「身土不二」の考えから、学校給食で地元食材を優先的に使う条例が、ソウル市など地方自治体で制定された。

ところが、2012年の韓米FTA(自由貿易協定)発効以降、これが米国産食材の排除につながるとして、協定に含まれるISD条項で訴えられることを恐れ、韓国政府は、各自治体に地産地消の条例をやめるよう指示した。

その結果、9割の自治体が「地場産品を使う」を「親環境農業政策」の基準に合った有機農産物を使うことに条例を変更した。

「地産地消」を「親環境農業政策」農産物に切り換えることとして、韓米FTAに対処したのである。

私たちが「食の安全・安心」を確保するとともに、国内農業の維持を図る上で、国内のオーガニック農業を振興する方策は極めて重要だ。

「全国オーガニック給食フォーラム~有機で元気!~」での意義深い論議が期待される。


※続きは10月24日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「オーガニック給食無償実施を」で。


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