核廃絶:力と支配の文明から和と連帯の文明へ~アザーニュース
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元駐スイス大使 村田 光平 氏
Net I・B-Newsでは、ニュースサイト「OTHER NEWS」に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNET(本部:日本)はECOSOC(国連経済社会理事会)認証カテゴリー1に位置付けられている(一社)。「OTHER NEWS」(本部:イタリア)は世界の有識者約1万4,000名に英語など10言語でニュースを配信している。今回は10月19日掲載の記事を紹介する。
世界は天災の激甚化に加えて倫理の欠如に起因する危機に見舞われております。古代ギリシャのプラトンの名言「すべての王様が哲学者にならない限り人類の不幸は無くならない」が想起されます。感性の重要性を説いたチャップリン(「我々が必要としているのは利口さよりも思いやりとやさしさである」)、および「星の王子様」の著者サン・テグジュペリ(「大事なことは目ではなく心でしか見ることはできない」)はその傍証です。このような視点から最近哲学の教えの三原則を発信しております。
それは、1.天地の摂理、2.歴史の法則、3.老子の天網です。人類と地球を守るのは天地の摂理です。カーボンニュートラルを理由に、また、ウクライナ危機が招来しているエネルギー不足を理由に原発依存を強める動きが強まりつつありますが、これは邪道です。原子力は本来不道徳・無責任だからです。不道徳・無責任の永続を許さないのは歴史の法則です。老子は天網によりすべての悪事は発覚し罰せられるとの警句を残しております。天地の摂理、歴史の法則および老子の天網は哲学の教えの三原則です。このような哲学の教えに立脚した情勢判断がますます求められる現下の情勢、とりわけウクライナ危機です。
世界が直面する危機をもたらしているのは倫理の欠如であることがますます明白です。これに対処するために長年に亘り提唱されてきた国連倫理サミットは、地球倫理の確立、力と支配の父性文明から和と連帯の母性文明への転換および核廃絶という三位一体の目標を掲げております。母性文明は1万4,000年の平和を生んだ縄文文明、日本が世界に誇り得る文明がその源泉です。
調和、連帯および思いやりを特徴とする母性文化は、世界に現存するすべての紛争を解決するための鍵であり、「核兵器なき世界」のビジョンの実現に不可欠なものなのです。母性文化の普遍性は、「Mother Nature(母なる自然)」「Mother Earth(母なる地球)」という言葉で示されます。
私は、世界を脅かすさまざまな対立は、母性文化の精神なしには解決できないという結論に達しております。国際社会は、すべての紛争当事者に対してこれに気づくよう呼びかけることを始めるべきです。紛争当事者の政策決定は母性思考によって導かれるべきなのです。核戦争や核テロという究極の争いの形態を思い浮かべるとき、対立に立脚した現在の力の文明が破局に向っているのを否定することはできません。倫理と連帯に立脚した和の文明への転換は緊急の課題です。
脱原発も核廃絶もなかなか実現しません。今こそ脱原発は核廃絶実現の前提条件であると新たに位置付け、倫理と連帯に立脚した和の文明への転換という観点から、核廃絶運動と脱原発運動を結合して可視化することが現状打破に不可欠なのです。
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