2024年11月06日( 水 )

【福岡IR特別連載113】長崎IR、中国企業の「土地爆買い」が韓国でも問題化

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 中国習近平政権と米国バイデン政権の覇権争いが激化し、我が国では台湾有事に関する「日米安全保障問題の重要性」が、以前よりも叫ばれている状況で、米国司法省は24日、中国の情報・治安機関のメンバーや、その協力者らを司法妨害、スパイ活動等の容疑で合計13人訴追したと発表した。米国CNNの報道によると、この「機密情報」は、中国企業のファーウェイに流れたという。

 また、隣の韓国でも「デジタルタイムズ」というオンラインニュースが「韓国はすでに中国領?恐ろしいほど買い漁る赤い資本、根絶へ」と報じた。中国民間企業の土地買収が日々大きな社会問題となっているのだ。

 ハウステンボスを買収する香港本社の民間企業「PAG」も含めた中国企業が、世界中の軍事基地や各国大使館などの重要施設周辺にある不動産を買い漁っているのは、今や世界的に有名な話なのである。中国習近平政権下のほぼすべての民間企業を含む組織において、我が国からの「機密情報の漏洩」などが普通に起こり得る問題だと考えるべきである。

ハウステンボス イメージ    そうしたなか、我が国では遅ればせながら、2016年6月16日に「安全保障上重要な施設周辺などの土地利用規制に関する法律」(重要土地利用規制法)が成立、今年9月から施行され、違反した場合は2年以下の懲役などが科されることとなっている。しかし、佐世保市行政の担当者は、ハウステンボスは「観光施設」であるためこの法律の適用外であると馬鹿なことを言っている。

 それゆえ、筆者はこのハウステンボス売却転売問題は、この施行前を狙った「駆け込み取引」で、その目的は佐世保という特殊な事情、地勢学的な位置にある重要な施設周辺の中国企業による買収だと本連載で重ねて解説している。これら日米安全保障問題は、近年、連日のように各メディアにより報道されているではないか。長崎IRの地元新聞社をはじめ、各報道機関と直接の関係者たちの「平和ボケ」とその愚かさは嘆かわしい限りだ。

長崎県人口131万人、福岡県人口511万人

 重ねて解説するが、長崎IRの本件集客予定計画は年間673万人、福岡IRの集客予定計画は年間460万人で、長崎IRは、福岡IRの実に1.5倍だ。長崎県の人口は福岡県と比較して300万人以上少ないのにも関わらず、この計画数値である。誰が考えても理屈に合わない。

 世界一リピーター率が高いという東京ディズニーリゾート(ランド、シーの合計)でさえ、首都圏人口とほぼ同じ年間平均約3,000万人の集客である。一方、長崎IRは壱岐・対馬などの離島を含めた県人口の5倍もの人が毎年来る計画となっている。こんな計画を筆者は聞いたことがない。

 福岡空港や高速道路、各種鉄道などのインフラ施設、さらに近隣のまちの市場性、都市圏人口など、長崎IRと福岡IRには比較にならない程の開きがあり、加えて、世界的なコロナ感染拡大による海外観光客の渡航規制という事態にも関わらず、この計画数値なのだ。

 筆者は、この計画数値について、県行政「御用達のアナリスト」が基本を無視し、目いっぱい下駄を履かせて忖度し、作成した「絵に描いた餅」だと最初から指摘している。詐欺まがいと言っても過言ではない。

 ハウステンボスは過去にわずか2回、年間300万人を超える集客を記録しただけであり、それが欧州オーストリアに本拠を置くカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパンになったら、驚愕の673万人(当初計画は800万人超)になるというのだ。筆者は「夢のまた夢」の支離滅裂な計画だと解説している。ちなみに現在の実績は、100万人前後である。

 つまり、この政治的環境下における日米安全保障、日米経済安全保障問題なども理解できず、本件IRの誘致開発事業計画当初から、管轄する長崎県行政と当該地である佐世保市行政などは、これを実行するすべての能力が不足しているのである。その為の人材もおらず、国際感覚などまったくない。それゆえ、これらを考慮すれば、我が国政府が長崎IRの区域認定申請を承認することなどはなく、「すでに崩壊している」と筆者は解説している。

 そもそも、IR誘致開発を実現する能力について、各地の行政機関には無理がある。この「カジノ法案」という難しい問題を成立させる為に、当時の安倍政権が各地の行政機関を主体として、海外事業者を「公募・入札」として実行するようなかたちにしたのが誤りなのである。

 大阪IRは米国MGMと民間企業のオリックスであるから実現可能であるが、それを除き、北海道苫小牧市、和歌山市、横浜市、そして次は長崎県佐世保市と、基本的にすべてが「行政主導が原因」で崩壊しているのである。

 次は福岡IRの米国Bally'sと民間企業組織の共同体の出番である。

 IRはまさにエンターテインメント施設であり、豊富な経験値を有する米国投資開発企業と我が国の民間企業の能力ではないと所詮、無理な話なのだ。最初から香港・マカオなど、中国カジノ企業は論外だったのである。

 それゆえ、筆者は当初から、大阪、福岡、東京の大都市圏3カ所と米国カジノ投資企業との連携しか本件実現の可能性はないと重ねて解説してきた。これが政府の当初からの本件IRの目的なのである。

【青木 義彦】

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