2024年12月22日( 日 )

次世代リーダーが見据える永続企業への道(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)曙設備工業所
代表取締役 蒲生 和紀 氏

 福岡県を代表する設備工事会社として、地場ゼネコンや建築設計事務所から厚い信頼を寄せられている(株)曙設備工業所。同社は次世代に向けた取り組みの一環として、経営陣の若返りを図った。これまで経営トップとして、30年の長きにわたり同社を牽引してきた野田弘之氏は会長に就任し、代表取締役には取締役営業部長・蒲生和紀氏が就任。今回、蒲生氏に改めて代表就任に際しての思いなどを聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

継承への思いと次世代への期待(つづき)

(株)曙設備工業所 代表取締役 蒲生 和紀 氏    ──蒲生代表は取引先との関係性を含め、野田会長の築き上げてきたもの引き継ぐにあたり感銘を受けたことなどありますか。

 蒲生 2人でご挨拶回りをした際に驚かされたのが、これまで野田会長がお付き合いをされてきた方たちの幅の広さでした。無論、短い時間のなかですべてが見えたわけではありませんが、それでも野田会長による人間関係の構築と、その継続によって支えられてきたということが、十分に伝わってきました。私も野田会長が築き上げてきた財産を、さらに強固なものにして、次世代に引き継いでいきたいと思います。

 ──蒲生代表が今後取り組んでいきたいことなどはありますか。

 蒲生 福岡市場では、天神ビッグバンや博多コネクティッドなどの再開発プロジェクトにともなう開発機運の高まりが、市中心部、そして市周辺部へとうまく波及しています。当社が入るマンション現場をエリア毎でみると、東区、博多区がとくに多く、最近では西区でも数百戸規模で設計・施工を手がけています。

 市場が賑わっている今、私自身挑戦してみたいことはもちろんありますが、まずは先述の通り、企業存続を一番に、社員一丸となって新体制を盤石なものに仕上げていきたいと考えています。

 ──仕事は順調、しかし建設業界全体の課題となっているのが人手不足です。

 蒲生 当社は現在30名体制で、現場を担当していただく協力業者さんたちは、常時数百名体制を維持しており、ほとんどの協力業者さんに、当社の仕事を専属的に請け負ってもらっています。以前は熊本の仕事も請け負っていましたが、今は福岡に絞ることで、協力業者さんの配置など、効率的に対応できています。

 新卒採用も継続しており、若手も充実してきました。意識改革から始まり、施工図の作成や現場管理など、当社の仕事を一通り任せられるようになるまでに、相応の時間が必要ですが、仲間とともに仕事をつくり上げて、利益と喜びを分かち合い、ともに成長していければと考えています。

左:「トラストレジデンス基山」外観イメージパース ​​左:「トラストレジデンス基山」外観イメージパース/​​​​​​​右:フリーディア室見サザンテラス​​​​/右:フリーディア室見サザンテラス
左:「トラストレジデンス基山」外観イメージパース
右:「フリーディア室見サザンテラス」外観

 ──社内での勉強会などは開催されているのでしょうか。

 蒲生 はい。永続企業を目指すなかで、人材の確保と人財への育成・定着は至上命令です。新卒者・業界未経験者教育については、座学での勉強会や直接現場に出てもらい、仕事のなかで教育を行うなど、知識と経験、それぞれのノウハウを共有するようにしています。また、1、2級管工事施工管理技士および給水装置工事主任技術者の資格取得を奨励しており、それぞれ援助を実施しています。

これからも福岡のまちづくりに貢献

 ──福岡市場の賑わいは当面続くことが予想されます。

 野田 昔は、ワンルームの相場は700~800万円でしたが、今は倍以上になっています。労務費も上昇基調で推移しており、デベロッパーの視点で見れば舵取りが非常に難しくなっているといえるでしょう。

 蒲生 労務費でいうと、リーマン・ショック後の相場よりも6~7万円は上昇しています。福岡市は、まだしばらくは人口が増加基調で推移すると言われていますので、受け皿となる住宅整備も続くと思われます。

 当社でも、1棟100戸前後から500戸規模の中~大規模マンションの設備設計・施工が続きます。これからも、経営理念に掲げる「少数精鋭で俊敏かつ誠実に快適環境づくりに邁進しよう」を胸に、社員とともに、設計施工からメンテナンスまで、設備工事のワンストップサービスを提供していきます。そして、お取引さまの満足度の向上、快適・安全な住まいづくりを通じた、より良い福岡のまちづくりに貢献してまいります。

(了)

【文・構成 代 源太朗】

 同社は20年1月、西日本シティ銀行を引受先とする、寄付・SDGs 認証支援型、地域応援私募債「つなぐココロ」1億円を発行した。同行は、「九州地域の未来を担う子どもたちの学びや成長を支援する目的で、当行が寄付金を拠出し、地域の学校などへ図書やスポーツ用品などの物品を寄贈する機能が付いた社債」と位置付けている。同社は同年6月に、地元の小学校へ寄付を行うなど、地域振興活動を通じた、地域貢献にも取り組んでいる。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:蒲生 和紀
所在地:福岡市早良区田村4-15-10
設 立:1982年2月
資本金:6,000万円
売上高:(21/12)37億6,826万円
URL:http://kk-akebonosetsubi.com/


<プロフィール>
(株)曙設備工業所 代表取締役 蒲生 和紀 氏蒲生 和紀
(がもう・かずのり)
1975年7月生まれ。長崎大学水産専攻科卒業後、99年4月に(株)曙設備工業所に入社。現場管理などの経験を積み、取締役営業部長に就任。2022年10月1日付で、同社代表取締役に就任した。趣味はスポーツ観戦。

(前)

関連記事