無人化が進む戦争 イランがロシアへの無人機供与を認める
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5日、イランがロシアに対してウクライナ侵攻の数カ月前に、少数の無人機(ドローン)を提供したことを認めた。国営イラン通信が同国のアブドラヒアン外務大臣の発言として報じた。イランは無人機を提供したことをこれまで認めていなかった。
一方で、無人機をロシアへ供与し続けているとの西側の見方については、あらためて否定した。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は、毎日少なくとも10機の無人機を撃墜しているとして、イランの主張を否定し、非難している。関連して、米国は8月、ロシアが兵器搭載可能なイラン製ドローンを保有していることを明らかにしており、9月にはイランの航空関連企業や個人を制裁対象に指定した。米国のニュースチャンネルCNNは、ロシアによるイラン製ドローンの操作方法に関する訓練が7月にイラン内で始まっていたと報じている。
ウクライナも無人機を活用しており、日本も自衛隊保有のドローンを「監視用」として同国に供与している。
戦争において、無人機が導入されるのは今回が初めてではない。2020年、旧ソ連構成国であるアゼルバイジャンが、アルメニアとの間のナゴルノ・カラバフ州をめぐる紛争において、AIを搭載したドローンを投入していた。アルメニアは親ロシアとしてロシアからミサイル防衛網を導入していたが、アゼルバイジャンはトルコ、イスラエルから導入したAIドローンにより、戦局を有利に展開させ、ロシア側に衝撃を与えた。ロシアは自国でのドローンの開発において遅れているとされ、イランから導入しているようだ。
戦争の無人化によりどのような変化が生じるのか。高度化した戦争の遂行においては訓練を受けた戦闘員が必要となるが、無人機で攻撃を行えるのであれば前線において人員を必要としなくなる。その一方で、AIには戦闘員を識別して攻撃するプログラムが組み込まれているとしても、誤射などにより非戦闘員の一般市民が巻き込まれることは容易に想像できる。実際、昨年8月に米軍がアフガニスタンを撤退し、タリバンが首都カブールを制圧した直後に、米軍が実施した無人機攻撃においてアフガニスタンの市民が犠牲になっている。
無人化が進む現代の戦争。自国民が前線に行くことなく、犠牲をともなわないのであれば、為政者にとって攻撃を行うことへの心理的ハードルは今後ますます低くなる。
【茅野 雅弘】
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