2024年07月16日( 火 )

自民市議が語る~提案されなかった「旧統一教会決別決議案」(後)

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 11月3日付の西日本新聞1面に、「九州の地方議会 教団巡り温度差 意見書案 福岡、熊本市は否決」という見出しの記事が掲載された。しかし、この記事は重要な話について触れていない。旧統一教会などの反社会的活動を行う団体を念頭においた決議案が存在していたことである。そこで、決議案が提案に至らなかった経緯について、調崇史市議(自民党市議団)に、話を聞いた。

調 崇史 氏
調 崇史 氏

    ──数名、福岡市議会議員も教団の関連団体の行事参加などがあったようです。団体でいえば、福岡県平和大使協議会の講演会や、他会派の方ですが、世界平和女性連合の女子留学生弁論大会に参加されたケースがありました。

 調崇史市議(以下、調) ご本人からその話はうかがいました。我々議員は、全国的なものも含めて、襟を正していく、それ以降の関係はなく、意思決定などに影響を受けたことは知る限りないと思っております。私自身に関しては、まったく関係性はありませんでした。

 行事への参加も、団体の背景を知らずに参加していた、というのが皆さん正直なところだと思います。旧統一教会との関係を隠す考えは皆さんなかったと思います。しかし、被害の拡大にまったく影響がなかったとは言い切れません。

 そうしたことを念頭に、決議案の修正は、私が案文を書きました。全会一致を目指す以上、旧統一教会というのが分かるように書こうと、起案いたしました。旧統一教会の言葉を入れるにあたって工夫をしたのはありました。

 ──反対意見はなかったのですか。

 調 部屋(会派)のなかでそういう話はなく、重鎮からは「これを出すということは旧統一教会だけではないとぜ」と仰ってました。これを出す(可決)ことで、対象範囲が広がり、活動に対して決議に反する行動に制約が課されます。その可決に努力しました。共産党の決議案の提出は、9月議会は補正予算の審議もありますので、会期途中の提案だったように思います。議会は9月6日が初日でしたので、9月第1週に提案されたかと思います。

 ──年間に出される決議はどのくらいでしょうか。

 調 福岡市議会は特別委員会を設置していますが、交通対策特別委員会や都市問題など特別委員会などを発足させる際の予算も、いくらとするということも実は決議しています。決議は年に数本~10本行かないくらいの決議が提案されています。手続き上必要な決議というものがあり、それを受けて執行部が予算をつけることになります。それ以外では、近年でいえば、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議や、天皇陛下の御即位の賀詞決議などが決議されています。

 ──反社会的な活動を行う団体というのは、どういったところを想定されていらっしゃるでしょうか。

 調 当然、反社会的な団体について真っ先に挙げられるのは、暴力団ですね。この暴力団の話から「反社勢力」という言葉が社会に定着したと思います。今まで福岡市議会では、暴力団についての決議は行っていません。この機会に、旧統一教会のことで、議員がそうした接点をもつことで市民が被害にあうことが明らかになりましたので、決議案にも「厳に慎むべき」という文言を入れました。長期にわたって、普遍的なものにすべきであると考えました。

 ──旧統一教会の霊感商法などの被害者の救済に関しては、どのようにお考えですか。県内では、嘉麻市議会が可決しています。消費者行政という点でも重要だと考えますが。

 調 被害者救済は大変重要です。福岡市が消費生活センターで、霊感商法、開運商法などの被害を拾い上げて、たとえば警察へつなぐとか、弁護士への法律相談の費用を支援するとか、タイムリーな関心事になっているなかで、実現可能で、市の単費でできると思います。

 ──友党である公明党は、支持団体との関係で、被害救済に消極的だとみられてしまう面があります。

 調 公明党とは、空港の出資問題やロープウエー構想の際もそうでしたが、決議に対して賛否がわかれることがあります。今回は公明党に配慮してということはなく、むしろ公明党は、対象を旧統一教会と明確にしてほしかったようです。

 難しい問題ですが、宗教2世の方々の問題など、人権問題であると認識しております。信教の自由を盾に議論をしないというのは、間違っていると思います。あくまで公共の福祉に反しない限りにおいて、人の自由は尊重されると思います。信教の自由や思想信条の自由があるから、子どもをいかようにしてもいいというのは公共の福祉に反する面が出てくると思います。度が過ぎたものは虐待だと思います。この機会に議論すべきと思います。

 今後、選挙を前にして旧統一教会などが、我々地方議員に対しても、さまざまなかたちで接近してくることに警戒心をもって、襟を正して日々の議員活動に取り組んでまいりたいと思います。

(了)

【近藤 将勝】

(中)

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