2024年07月16日( 火 )

悲劇に襲われる自業自得

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、岸田内閣が原発再稼働を推進する姿勢を示したことを批判する11月14日付の記事を紹介する。

日本政府は原子力緊急事態宣言を解除していない。
原子力緊急事態宣言は2011年3月11日に発出された。
東日本大震災、津波災害により、東京電力福島第一原子力発電所は全署停電=ステーション・ブラックアウトに陥った。

全電源を喪失した。
原発が電源を喪失すれば原子炉を冷却することができなくなる。
2011年3月11日の早い段階で原発メルトダウンが想定された。
事態を受けて政府は原子力緊急事態を宣言した。

この原子力緊急事態宣言をいまなお解除できていない。
一般公衆の被曝上限は年間線量1ミリシーベルト以下と定められている。
ところが、福島の被災地では年間線量20ミリシーベルトの被曝が許容されている。

累積線量100ミリシーベルトの被曝で、がん死リスクが有意に上昇することが確認されている。
年間線量20ミリシーベルトの被曝を5年続ければ、累積線量は100ミリシーベルトに到達する。
法律が定める被曝上限を越える被曝が放置されている。

2011年の原発事故から11年の時間が経過したが、日本は問題をまだ解決できていない。
フクシマ原発事故によって「原発絶対安全神話」は崩壊した。

「核燃料は5重の防護壁に守られ、打ち破られることはない」との「絶対安全神話」が提示されていたが、いとも簡単に「絶対安全神話」は崩壊した。
原発が電源を失えば核燃料を冷却することが不能になり、原発が暴走する。
フクシマ原発事故は多くの奇跡的偶然が重なり、過酷事故を免れたが、この奇跡的偶然が発生していなければ、その被害は想像を絶するものになっていた。

同種の事故が発生する恐れが存在する。
最大の問題は原発の耐震性能が低いこと。
地震の揺れの強さに対する耐震性能が不足している。

福島事故以前、日本の原発の耐震設計基準はほとんどが400ガル程度に定められていた。
福島事故を受けて基準が引き上げられたが、それでも耐震設計基準は450ガルから800ガルの水準までしか引き上げられていない。

しかし、日本では1500ガルを越える揺れの地震が頻発している。
その1500ガルを越える揺れは日本列島のすべての場所で発生する可能性がある。

日本の原発の耐震設計基準が400ガル程度に定められていたのは、かつて、関東大震災の震度が7で、ガル数は350ガルないし400ガル程度だと思われていたことによる。
100年に一度、1000年に一度しか発生しないような巨大地震でも、揺れの強さを示すガル数は400ガル程度と考えられていた。

※続きは11月12日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「岸田内閣終焉Xデー接近」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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