九州地銀グループの実力度を検証(5)
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前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算の概要を見ていただきたい。
◆白地の銀行はフィナンシャルグループ(FG)に属さず、今後の去就が注目される8行(大分・十八・宮崎・佐賀・南日本・筑邦・宮崎太陽・佐賀共栄銀行)である。【表2】は十八銀行と親和銀行の概要である。(2)十八銀行(長崎市)
・預金残高6位の十八銀行は2兆4,711億円(前期比5.1%)で、1,189億円の増加。地銀平均の3.8%を大幅にクリアし、久しぶりに善戦している。
・貸出金残高は1兆4,512億円(前期比5.4%)で、741億円増加。地銀平均の5.7%にはわずかに届かなかったため、7位の親和銀行に129億円及ばず、その座を取り戻すことはできなかった。
・当期純利益は67億円(前期比7億円)となったが、熊本銀行が80億円(前期比30億円)と大幅な増益となったため、7位に後退。
・一方、同じ長崎県を地盤とする預金残高7位の親和銀行(佐世保市)は、2兆2,565億円(前期比1.2%)で、地銀平均の3.8%を大幅に下回った。また貸出金も1兆4,641億円(前期比3.9%)で、地銀平均の5.7%を大幅に下回り、増加額は543億円にとどまったが、かろうじて7位の座を死守している。
・十八銀行は昨年6月にトップが交代し、森拓二郎頭取(60歳)が就任。競合する親和銀行も吉澤俊介頭取(59歳)が昨年4月に就任。共にプロパー頭取が誕生したが、この一年間の業績から見ると軍配は森頭取に上がる。吉澤頭取にとって今期は真価を問われる勝負の年となりそうだ。
・長崎県の2015年5月1日現在の人口(推計値)は1,376千人。十八銀行本店がある長崎市の人口は43万1千人。親和銀行本店がある佐世保市は25万3千人。長崎県の南部を地盤とする十八銀行に対し、北部を地盤とする親和銀行は共に棲み分けをしていた。しかし、業績低迷により福岡FGの傘下に入った親和銀行が態勢を整えて南進してきており、少ないパイを巡って長崎県全域で競争が激化しているといわれる。
・表1から分かるように預金残高では十八銀行が2,146億円上回っているものの、貸出金はごくわずかではあるが親和銀行が上回っており、ほぼ互角の戦いをしている。15年3月期決算では十八銀行の巻き返しが功を奏したと言えなくもないが、今後ふくおかFGをバックに持つ親和銀行が攻勢を強めてくれば、この地位がいつ逆転するかわからない状況にある。
・肥後銀行が鹿児島銀行との経営統合に踏み切った背景には、ふくおかFG傘下の熊本銀行が攻勢をかけてきたことが要因の1つと言われる。十八銀行も同様な立場にあり、いつ経営統合に踏み切ってもおかしくない状況にある。十八銀行がどこと組むのか。【表2】の大株主に佐賀銀行の名があることに注目したい。
(つづく)
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