18歳選挙権目前、福岡市の啓発活動や主権者教育は?
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「18歳選挙権」が2016年6月施行され、同年夏の参院選挙から適用が見込まれ、若者の政治参加の促進、啓蒙は急務の課題だ。開会中の福岡市議会一般質問で24日、田中慎介市議(福岡市民クラブ)が高校生への啓発活動など投票率向上について取り上げた。
福岡市の18歳、19歳人口は約2万8千人
市選挙管理委員会などの答弁によると、福岡市の投票率は政令市のなかで低い方から3番目(2015年4月に市議選を実施した17政令市比較)の40.81%。年代別にみると、若い年代ほど投票率が低く、20代では2割を切っている。
一方、福岡市の18歳、19歳の人口は合計で2万8,364人(2015年5月末時点)であり、選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられることによって、新宮町や須惠町など1つの自治体の人口に匹敵する有権者が一気に増加することになる。田中議員「高校での投票環境の向上は喫緊の課題」
田中議員は、来年夏の参院選挙では、現在の高校2年生が投票することになるとして、高校生に対するアプローチの重要性を取り上げ、「高校での投票環境の向上は喫緊の課題」と指摘。東京都練馬区や福島県などの先進事例として、模擬投票、選挙事務への参加(投票用紙の交付や選挙人名簿との照合など)、投票する度にスタンプを押して自分の生涯投票率を記録できる「選挙パスポート」交付などを紹介、提案した。他都市の取り組みを分析して、市立高校4校での近い将来の実施を目指すべきだと迫った。
市教育委員会は、「市立高校においても選挙について理解を深める学習が重要であると認識している。今後、文科省や他都市の状況をふまえ、選挙管理委員会と連携しながら市立高校の取り組みを検討していく」と答えた。また、田中議員が、小中学校での模擬投票の実施例を挙げて、義務教育9年間中の模擬投票の実施や主権者教育の充実を求めたのに対し、市教育委員会は「選挙権の拡大に伴い、小中学校においても主権者としての自覚を育てる教育はこれまで以上に重要になる」との認識を示し、他都市の取り組みを参考にして「主権者としての自覚を育む教育」の充実の検討を約束した。
田中議員は、大学・専門学校と連携した「若年層に対する選挙投票啓発」キャンペーンやイベントの実施や、大学生の選挙啓発ボランティア「CECEUF(セセウフ)」へのサポートなども求めた。
老人ホームなど指定施設での不在者投票
田中議員の一般質問では、市全体の投票率の低下についても、突っ込んだ論戦があった。
田中議員は、福岡市も以前は政令市のなかで投票率トップの札幌市と並んで投票率の高い政令市だったとして、「低下に歯止めがかからない」「他政令市に比べて低投票率」「若い世代ほど投票率が低いのと同時に、選挙ごとに各年代で投票率が低下している」と指摘した。「危機感を持って、投票率向上させるためにあらゆる視点から対策を講じていく必要がある」として、投票率向上のために、転入者への啓発、老人ホームなどの不在者投票指定施設の拡充を取り上げた。指定施設での不在者投票とは、病気やけがなどで歩行が困難で老人ホームや病院などに入所・入院している有権者で、その入所・入院している施設が不在者投票の指定施設になっている場合、施設で不在者投票ができる制度だ。
福岡市では、病院111カ所(総定員22,294人)、老人ホーム88カ所(同7,684人)、身体障害者支援施設3カ箇所(同180人)が指定を受けている。
病院・有床診療所の15.6%(病床数ベース)、老人ホームの55.3%(定員ベース)が指定を受けていない実態が浮かび上がった。田中議員は、入院やけがなどで投票所までいけない条件は同じにもかかわらず、指定施設でないために不在者投票制度を利用できない有権者が存在する状況を「放置してはならない」として、「指定の割合」を上げていくことが重要だと求めた。
市選管は「施設の指定は都道府県の選挙管理委員会が行うこととなっているため、未指定の施設について指定していくことができないか相談していきたい」と答え、取り組みに前向きな姿勢を示した。【山本 弘之】
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