2024年12月23日( 月 )

九州地銀グループの実力度を検証(10)

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 前回に引き続き、九州地銀グループ第1位のふくおかFGと第2位の西日本シティ銀行グループを検証していくことにしたい。【表2】の九州地銀グループの計数を見ていただきたい。

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ふくおかFGと西日本シティ銀行グループを検証

(1)預金残高について

ふくおかFGの連結修正後の預金残高は12兆6,823億円(前期比3.6%)で、増加額は4,442億円。一方、西日本シティ銀行グループは7兆5,662億円(前期比5.1%)で、増加額は3,654億円となっており、伸び率では西日本シティグループが上回っているものの、長崎銀行の不振が気になるところだ。

・福岡銀行の預金残高は9兆1,244億円(前期比4.5%)で、増加額は3,966億円。西日本シティ銀行の預金残高は7兆3,300億円(前期比5.4%)で、増加額は3,776億円となっており、額でも互角の戦いをしているのは、九州FG設立を意識した動きと見られる。
・ふくおかFG傘下の親和銀行2兆2,302億円(前期比1.2%)で増加額は533億円。また西日本シティ銀行グループの長崎銀行は2,362億円(前期比▲4.9%)で、九州地銀18行中、ただ1行だけマイナスとなっており、昨年頭取に就任したばかりの山本一雄氏にとっては、厳しい数字となっている。
・熊本銀行の預金残高は1兆3,442億円(前期比1.8%)で、増加額は237億円。それに対して肥後銀行は4兆1,956億円(前期比2.2%)で、増加額は904億円。両行とも地銀平均の3.8%以下となっており、熊本県の経済状況を反映した数字なのかもしれない。

(2)貸出金について

・ふくおかFGの連結修正後の貸出金は10兆2,134億円(前期比6.4%)で、初めて10兆円台に突入。増加額は6,177億円で、南日本銀行の貸出金5,587億円を上回っており、グループの強さが目を引く。
 それに対して西日本シティ銀行グループは6兆3,873億円(前期比5.1%)で、増加額は3,106億円となっている。これは16位の福岡中央銀行の貸出金3,530億円に迫るもので、この2つのグループの合計増加額は6,979億円。上位金融グループが優勢な戦いを展開していると言えよう。
・福岡銀行の貸出金は7兆7,633億円(前期比7.2%)で、増加額は5,181億円。西日本シティ銀行の貸出金は6兆1,586億円(前期比5.3%)で、増加額は3,088億円となっており、福岡銀行がやや優勢となっている。

この表から見えるもの

・預貸金においてはふくおかFGに離されないように、西日本シティグループも必死に頑張っているのが分かる。しかし全体から見るとふくおかFGが福岡県、長崎県、熊本県の3県にわたって営業展開しているのに対して、西日本シティ銀行Gは福岡県、長崎県の2県だけの展開となっている。
 西日本シティ銀行がふくおかFGに伍していくには、それなりのボリュームの銀行を経営統合していかなければ将来的にはその差はさらに広がっていくものと思われる。

(つづく)
【北山 譲】

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