サムソンとLG、テレビ事業で赤字転落
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
ソニーはブラウン管時代にテレビ市場で世界トップの座を占めていた。トロニトロンという圧倒的な技術で世界をリードしていた。しかし、2000年に液晶パネルを使ったデジタルテレビの時代が到来し、ソニーはサムソンとLGに追い越されるようになる。サムソンはその後、9年間世界テレビ市場の首位の座を維持し、LGも2位をキープしてきた。
2015年の第1四半期、サムソンとLGはシェアでは1位と2位は維持したが、4年ぶりにテレビ事業で赤字を計上することとなる。一方、ソニーは10年以上赤字を計上していたが、15年の第1四半期に11年ぶりに黒字に転換し、83億円の黒字を記録している。
サムソン電子は、今年の第1四半期にテレビ、白物家電などの生活家電部門で1,400億ウォンの営業損失を計上した。赤字の主な要因はテレビ事業の苦戦である。テレビ事業がメインであるビジュアルディスプレイ事業部の売上高は6兆2,200億ウォンで前年同期比36%も減少している。LGも似たような状況で今年の第1四半期で62億ウォンの赤字を計上している。
テレビ市場では今、何が起こっているのか。この数年間、テレビ事業は競争が激化して収益率が減少する傾向にある。その理由として、テレビ事業の技術的な参入障壁がかなり低くなっている点を挙げることができる。テレビ製造に必要な半導体やディスプレイなどの部品が入手しやすい環境になってきており、部品を購入すればテレビは製造できるようになったからである。
このような状況で、中国メーカーが価格競争力を武器に大きくシェアを伸ばしている。中国は2013年度に世界市場シェアで日本を抜いて世界2位になっている。中国のTCL,ハイセンス、チャンホンなどのテレビメーカーは、中国以外の市場でも今年の第1四半期に前年同期比で16%シェアを伸ばしている。特に北米市場での成長は著しく、出荷量は30%の増加となっている。テレビはパソコンと同じように価格競争だけの製品になりつつあるようだ。
加えて、もう1つはテレビ市場自体の縮小である。2010年以降、世界のテレビ出荷量は減少しつつある。去年はオリンピック効果で一時的に需要が伸びたが、全体として市場は減少傾向にある。その理由として、テレビを買わない世帯も現れてきたことと、テレビの代わりにスマホ、またはパソコンで映画やドラマを見る若年層などが増えつつあることを挙げることができる。
それ以外に、サムソンとLGの赤字の原因として為替をあげている。サムソンとLGの売り上げの半分以上は、ヨーロッパと中南米で上げている。しかし、ユーロ安と新興国の通貨が切り下げによって、収益が大幅に圧縮している事実がある。このような問題を解決するために、サムソンもLGも高付加価値の次世代のテレビに力を入れている。3Dテレビ、超高画質テレビ、OLED TV(有機ELテレビ)、スマートテレビなどである。ただし、この中で3Dテレビとスマートテレビはパッとしないし、超高画質テレビもまだまだ市場シェアが低い。
日本のテレビメーカーが大赤字を出し続け、苦戦してきたが、同じ状況が韓国のテレビメーカーでも再現される可能性が生まれつつあるようだ。
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