日本郵政が野村不動産HDを買収へ、野村不動産はあの東芝の家主だ!(前)
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日本郵政が、マンション「プラウド」で知られる野村不動産ホールディングス(HD)の買収に動く――。5月12日、NHKが関係者の話として報じた。
日本郵政は野村不動産に対してTOB(株式公開買い付け)を行う方向で検討しており、株式の過半数を取得して子会社とすることを目指している。買収額は数千億円規模。同社の株式約33%を保有する野村ホールディングスとも調整を進めてきたという。この報道で、関係業界は色めき立った。
巨額赤字の責任をとらずにM&Aに前のめり
日本郵政(株)の長門正貢社長(68)は、M&A(合併・買収)に前のめりだ。
日本郵政の2017年3月期の決算は、15年に買収した豪州の物流会社トール・ホールディングス(HD)の経営悪化で、およそ4,000億円の損失を計上したことから、最終損益が289億円の赤字となり、07年の民営化後、初めて最終赤字に転落した。にもかかわらず、今度は、野村證券(株)グループの野村不動産ホールディングス(株)を買収するというのだ。
長門社長は15日、決算の記者会見の席で、こう述べている。
NHKによると、〈「M&Aは1つの成長戦略の歯車にしたいと絶えず考えており、可能性があれば、聖域なくターゲットにしたい」「4,000億円という大きな損失を出した直後だが、それは買収判断とは全く関係ない」〉。
さらに、〈「初めての赤字決算は大変残念で、このようなことは繰り返さないようにしたい」〉と他人事のようにサラリと言ってのけた。豪州物流会社トールHDの買収は、西室泰三・前社長が決断したもので、自分には関係ない。トール社の巨額損失問題に幕を引き、野村不動産HDを買収することに意欲を示したのである。
長門氏は(株)日本興業銀行出身。経営統合した(株)みずほコーポレート銀行(現・(株)みずほ銀行)常務、富士重工業(株)(現・(株)SUBARU)副社長、シティバンク銀行(株)会長を歴任。15年5月、金融に精通したことを評価され、(株)ゆうちょ銀行社長に就任。16年4月、西室泰三・日本郵政社長の退任にともない、長門氏が後任の社長に就いた。
(つづく)
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