揺れる台湾の教科書問題
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国民党、民進党、どちらの党が政権与党を取るかで、歴史観がガラリと変わってしまう台湾が「教科書問題」で揺れている。
7月22日、歴史教科書の学習指導要領改訂に反対する高校生らが国の教育部の庁舎内に突入し、大臣室を占拠、30人以上が逮捕された。今回の改訂は、中国との密接性を強調する、いわゆる「中国寄り」の内容とされ、学生らの若い世代の反発を招いている。若い世代は「台湾は中国とは異なる社会」との意識が強く、行動を起こしやすい傾向にある。
教科書の新たな指導要領はこれまでの「中国」との表記を「中国大陸」と言い換えた。「中国」と表記すれば、「台湾と中国は別物」という意味を含んだが、「中国大陸」と表現することで「別の国ではない」との意味を出し、台湾の独立色を薄めている。これらは、与党・国民党の意向が強く影響している。また、1895年から1945年の日本統治時代に関しても、表現を変えた。従来の「日本統治」から「日本植民統治」に改めることで、「植民地にされた」と批判的なニュアンスを含ませている。
国民党の朱立倫主席は、7月末、日本統治に関して「不幸な歴史で、台湾人が日本統治に感謝することは絶対にない」と強調した。台湾メディア関係者は「台湾文学や表現文化が発達しないのは、歴史観を含む過去に対する捉え方や教育が不安定であることも影響している。言論統制も行われるため、子どもたちの表現スキルや想像力が育たないのも大きな問題。『台湾』という国をどう位置づけるかが毎回、政争の具に用いられ堂々巡りを繰り返している」と話す。
台湾では、今月17日にも高校進学を控えた少年らが教育部の外壁に「洗脳反対」などと落書きし、警察に取り押さえられた。メディア関係者は「本来、学業に打ち込むべき学生がそのような活動に参加していること自体が残念」と話す。新指導要領に沿った教科書は、秋の新学期から高校1年生で採用される予定だ。
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