複雑なニーズに対応するマンション管理支援ネットワーク長崎(中)
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中心部で高まる需要
――マンションの需要についてはどのように考えていらっしゃいますか。
田口 人口が増えているときは地方に行って団地を開発していましたが、人口が減るようになると均等に減るわけではなく、中心部に集まるようになります。土地に余裕がない中心部に人が集まるわけですから、マンションといった集合住宅の形式自体の需要が減るということはないでしょう。実のところ、維持・修繕については、どのマンションもあまり考えられていません。それどころか、マンションの新築から再生という1サイクルはまだ終わっていません。数百年後もマンションはあると思いますが、建ててから時が経って必要となる修繕を行い、それからさらに時が経って解体して再度建て直すというサイクルがまだ終わっていないのです。現在も新築のマンションは次々に建てられているわけですから、修繕や建替え、再開発に関する需要はますます増えていくと思います。
――マンションの寿命とはどれくらいが目安と考えれば良いでしょうか。
田口 諸説ありますが、「だいたい60年」と言われています。その根拠は、構造体がどれくらいもつかというところからきています。それは、鉄筋コンクリートは、鉄筋の引っ張る力とコンクリートの圧縮で成り立っています。鉄筋の錆びをコンクリートのアルカリ性で防いでいるのですが、コンクリート1cmの厚み分のアルカリ性が中性化するまでおおよそ20年かかると言われています。建築基準法は、耐力壁の鉄筋のかぶり厚さは3cm以上と定めており、3cmかける20年の60年となります。――今、世界遺産で注目を集めている軍艦島(端島)の建物が、コンクリートの腐敗を知るうえで貴重な資料とも言われているぐらいですから、実際のところ、根拠はまだないと言えますね。
田口 地震など特別な要因がない限りは、数百年単位でもつかもしれません。しかし、構造体がしっかりしていても、外壁や防水、給排水管は、修繕する必要がでてきます。また、生活様式の変化によってそれまでの機能がニーズにそぐわなくなることもあります。たとえば40年ぐらい前は、5階までのエレベータ-やクーラーは贅沢品と言えましたが、今ではあって当たり前です。古いマンションになると、時代環境に対応できないために建て替えざるを得ないということもあります。居住性を含めて、そうした様々な要因を考えると、やはりマンションの寿命は50~60年といったところではないでしょうか。――長崎では、マンションの修繕や建替えの需要はどうですか。
田口 そうですね。東京のほうでは、やはり中心部に住みたいというニーズがあり、建替えの話が急激に増えていますが、それは長崎も同じです。今後、長崎でも建替えや修繕の話は増えていくと思います。(つづく)
【聞き手・文:山下 康太】<お問い合せ>
マンション管理支援ネットワーク長崎
所在地:長崎市宝町5-5 HACビル7階
TEL:095-865-9676
FAX:095-865-9683関連記事
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