2024年11月24日( 日 )

建設産業の担い手確保・育成対策について(前)

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一般財団法人 建設業振興基金
構造改善センター 研究部長・人材育成支援担当部長
長谷川 周夫 氏

kensetu_img 今の建設業界の最大の課題は担い手の確保、育成です。長い間、冬の時代が続きましたので、若い人が入ってこなかった。あるいは、入ってきた人も辞めていってしまったという事態があります。次代を担う若い技術者や技能者が非常に不足しています。足元では多少、入職者が増えているとの情報もありますが、長い目で見たら間違いなく不足してきます。今、建設業全体に明るい兆しが見えつつあります。このときに、やれることをしっかりやっていかなければならないと思うのです。

建設業の担い手対策は、ひとえに建設業だけのためのものではありません。政府の最大の課題は地方創生。地方における雇用の場をどのように確保していくのかということです。建設業はモノをつくり、社会資本をつくり、そして守るという点において、基幹産業であることは今までもこれからも変わりはありません。そして、間違いなく求人ニーズはあるにもかかわらず、さまざまな事情で若い人たちが入ってきてくれない状況は地方にとっては非常に不幸なこと。雇用の受け皿、地方創生の受け皿として、建設業は重要な役割を担っています。

 建設産業活性化会で取りまとめられたさまざまな対策を同時並行して進めていかなければなりません。最も早急に取り組むべきは、やはり技能者の処遇改善です。製造業などよりも低い賃金水準をどのようにしていくのか。
 また社会保険未加入問題についても、地方では首都圏よりも未加入率は低いという状況にありますが、技能労働者特有の流動性の高い働き方では若者が入ってきてくれません。こういった状況を改善するために、若手の早期活躍の推進を図っています。技術検定の受験資格を早期に与えたり、若手技術者の登用を促すモデル工事を実施したりしています。さらに現状が改善されたとしても、将来を見通せる環境をつくらねば、安心して入職することはできません。建設市場の約4割を占める公共事業でできること、予算の安定的、持続的な確保をしっかりやっていく。教育訓練の充実や女性のさらなる活躍の推進、建設生産システムの省力化・効率化など課題は山積みです。これらを一体として、推進していかなければ、明るい建設産業は見えてきません。

 地域建設産業活性化事業は担い手の確保、育成の促進、建設生産システムの効率化により、事業力を強化し、業界の活性化を目指す支援事業です。まず、支援アドバイザーの派遣により、自社だけでは解決できなかった課題に対し、幅広いアドバイスを実施します。人材開発や技術の専門家や中小企業診断士が工程管理の改善や経営審査事項審査の評点アップ、原価管理の充実化を行います。こちらは2回までは無料で派遣します。そして、複数の企業が連携して、人材育成や技術開発、生産性向上に取り組む事例に上限300万円で資金援助を行います。

(つづく)

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