2024年12月19日( 木 )

九州地銀(18行)の2022年9月期(中間期)決算を検証する(2)

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【表】は九州地銀18行および金融グループ(FG・FH)トップの経歴表(就任年月は頭取への就任時期、在任期間は社長・会長および頭取・会長の通算期間)である。

◆昨年のトップ交代は西日本FHと傘下の西日本シティ銀行。今年のトップ交代はふくおかFGおよび傘下の2行(福岡銀行・みんなの銀行)だった。
・ふくおかFGの柴戸隆成社長は、谷正明社長の後任として2014年6月に就任。福岡銀行頭取を兼務していたが、2019年4月に、ふくおかFG代表取締役会長・福岡銀行代表取締役会長も兼任していた。
・2022年4月、柴戸隆成会長は兼任していたふくおかFG社長および福岡銀行頭取に、五島久ふくおかFG取締役執行役員を任命。福岡銀行頭取には歴代日銀出身者が就任していたが、谷正明頭取、柴戸隆成頭取に続き、プロパー三代目となった。
・2022年4月、ふくおかFG傘下のみんなの銀行(インターネット専業銀行)の横田浩二頭取(64歳)が会長となり、若い永吉健一副頭取(50歳)が社長に就任した。高校は柴戸会長と同窓の修猷館高校。付記すると、西日本FHの久保田会長および谷川浩道副会長も同校出身。柴戸氏と谷川氏は同期であり、修猷館高校卒が多いのがわかる。
・ただ、五島久ふくおかFG社長は鹿児島県立大口高校卒。また、西日本FHで初の生え抜きとなった村上英之代表取締役社長は大分県立日田高校卒であり、変化の兆しは見えてきている。

◆トップとして通算在任期間が長いのは西日本FHの久保田勇夫会長で、16年4カ月(2022年10月31日現在 以下同様)。
・2番目が筑邦銀行の佐藤清一郎頭取(73歳)で13年6カ月。同行は2020年1月17日、金融持株会社のSBIホールディングスと資本業務提携契約を締結。佐藤頭取は記者会見で、「今後も独自路線を継続するため提携したというのが我々の本心」と語っている。
・3番目が肥後銀行(九州FG傘下)の甲斐隆博会長で13年4カ月。2009年6月に頭取就任(在任9年)。2018年6月から会長(現在4年4カ月)。後任の頭取にみずほ銀行出身の笠原慶久氏が就任している。
・4番目が同じく九州FG傘下の鹿児島銀行の上村基宏会長で12年4カ月。2010年6月に頭取就任(在任9年)。2019年6月から会長(現在3年4カ月)、後任の頭取にプロパーの松山澄寛氏が就任している。
・5番目が豊和銀行の権藤淳頭取で10年6カ月。豊和銀行は2018年8月1日よりSBIホールディングス(HD)グループのSBI証券と業務提携。地銀との経営統合ではなく、独自路線で生き残る道を探っているように見える。
・6番目が佐賀銀行の陣内芳博頭取で10年4カ月。ここまで6人が10年以上となっている。
・7番目が佐賀共栄銀行の二宮洋二頭取で8年4カ月。同行も2018年1月22日よりSBI証券と業務提携しているが、二宮頭取は、「規模が小さなところは(独自の)色を出せる。それが小さな銀行として生きていく道だ」と語り、独立路線を続ける意向を示し、SBIホールディングス(HD)との資本業務提携は否定している。

◆北九州銀行を傘下に置く山口FGは2021年6月25日に開催された株主総会後の臨時取締役会で、吉村猛山口FG会長兼CEO(最高経営責任者)を解任。取締役に降格して椋梨敬介社長グループCOOがCEOに就任。筆者著の『実録 頭取交替』に続く第2回目のクーデターが発生した。それが端的に読み取れるのが「年齢」である。
・山口FGの椋梨敬介代表取締役社長は現在52歳(在任期間2年4カ月)。2020年6月、椋梨執行役員(当時50歳)を後任の社長に任命したのは吉村猛山口FG会長兼CEO(60歳)だった。それまでは山口FGのトップの年齢も会長>社長、傘下の銀行頭取も年下だったが、今は下記の通りとなっている。
・山口銀行の神田一成取締役会長は59歳。曽我德將代表取締役頭取は59歳。北九州銀行の藤田光博代表取締役会長は68歳。嘉藤晃玉代表取締役頭取は61歳。もみじ銀行(本店:広島市)の小田宏史頭取も61歳。

<まとめ>
【表】の通り、九州地銀の金融グループおよび銀行トップの年齢は会長>社長、会長>頭取となっている。しかし、山口FGは、椋梨敬介社長より傘下の頭取はすべて年上となっている。社長として「権限を行使する立場にある」ものの、もし失敗するようなことがあれば再びクーデターが発生する可能性もある。椋梨氏を社長に任命したのは失脚した吉村氏であり、「権限を行使したくてもできない状況」は、当分続くことになりそうだ。

【表】九州地銀(18行)のトップ(会長・頭取)の経歴について

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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