2024年07月16日( 火 )

次期総選挙へ直ちに行動を

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「国民の意志を政治に反映するため、直ちに行動を」と訴えた12月16日付の記事を紹介する。

 衆議院の任期満了は2025年10月。
 3年の時間がある。
 しかし、衆議院の場合、解散が実施されれば総選挙となる。
 その時期は特定できない。
 次の選挙まで時間があると高を括っていられない。
 時間があるときに対応せずに、時間がなくなると「時間がない」と言い訳して対応しない。
 この悪循環が繰り返されてきた。

 現在の野党第一党は立憲民主党。
 この党に期待を寄せる主権者がどれだけいるのか。
 立憲民主党は凋落の坂を転げ落ちている。
 立憲民主党の凋落は自業自得。
 自ら凋落の道を選択してきたとしか言いようがない。
 最大の過ちは右旋回して野党共闘を破壊したこと。
 連合の軍門に下った。
 連合会長・芳野友子氏はJAM出身。
 JAMは連合を支配している六産別のひとつ。

 六産別とは電力(電力総連)、電機(電機連合)、自動車(自動車総連)、鉄
鋼(基幹労連)、機械・金属(JAM)、繊維・流通(UAゼンセン)のこと。

 大企業御用組合連合と表現できる。
 連合は総評と同盟など4機構が合流して創設された。
 現在、連合の主導権を握っている六産別は同盟の系譜を引く。

 同盟は民社党の支持母体として1964年に創設された。
 この民社党、同盟が強い連携関係を有したのが旧統一協会傘下の国際勝共連合である。
 国際勝共連合は韓国のKCIA、米国のCIAと結びついて反共活動を展開してきた。

 国際勝共連合の軸足の1つが自民党清和政策研究会に置かれ、もう1つの軸足が同盟、民社党に置かれたと判断できる。
 六産別が主導権を握る連合が「反共政策」を主張するのは順当だ。

 その勝共活動、反共活動の軍門に立憲民主党が降った。
 立憲民主党は昨年10月の総選挙で野党共闘を否定し、共闘するのは国民民主党と連合であると明言した。
 野党共闘を支持する主権者は一斉に立憲民主党から離反した。
 衆院総選挙惨敗の責任を取って辞任した枝野幸男氏の後継代表に就任したのが泉健太氏。
 泉健太氏は一段と反共路線に突き進んだ。
 その結果として本年参院選でさらなる大惨敗を演じた。

 旧民主党=旧民進党の「立民+希望」、「立民+国民」の比例代表選挙絶対得票率(全有権者数に対する得票数の比率)推移は以下の通り。

2017年衆院選 20.0%
2021年衆院選 13.7%
(立民11.2%、国民2.5%)
2022年参院選  9.4%
(立民6.4%、国民3.0%)

 立憲民主党の凋落は目を覆うばかりである。
 あろうことか、立憲民主党は維新にすり寄る醜態を晒している。
 CIAの基本戦略は日本の二大政治勢力体制を自公と第二自公にすること。
 立憲民主党はCIAの基本戦略に則って行動していると考えられる。

 問題は日本の主権者の意向だ。
 日本の主権者多数が対米隷属の現行政治の打破を求めている。
 戦争推進、原発推進、弱肉強食推進の現行政治の刷新を求めている。
 平和主義堅持、原発廃止、共生追求の新しい政治を求めている。
 共産党がこの基本政策を共有する以上、共産党を排除する理由がない。
 現在の立憲民主と維新なら、自公と何の違いもない。
 国民民主は政権与党入りを目指して自民にひれ伏す状態だ。
 次の総選挙に向けて、日本政治刷新を求める主権者多数の意思を反映する中核野党を誕生させなければならない。
 このことが急務である。

 現在の自公与党を支えているのは主権者の25%。
 選挙に足を運ぶ国民が50%。
 その半分が自公に投票している。
 非自公に投票する国民が25%いるが、投票先が分散されるため自公が圧勝する。

 国会議席の3分の2を自公が占有する状況が生まれている。
 この状況を変えることはできないとの諦めムードが広がっている。
 しかし、諦めれば敵の思うつぼ。
 諦めてはならない。
 どうすればよいかを考えて実行することだけが、現実を変える道筋になる。
 現状でも25%の同志が存在する。
 選挙で政権交代実現が見えてくると援軍が一気に増大する。

 2009年8月30日の衆院総選挙。
 小沢-鳩山ラインが牽引する民主党が政権交代実現の可能性を明示した。
 総選挙に主権者の7割が参加した。
 結果は民主党の圧勝だった。
 過去最大の勝利を得た。
 この再現を目指すべきだ。
 政権交代可能な青写真を明示する。
 それだけで、選挙への参加者が激増する。
 激増する選挙への参加者が政権交代を実現する原動力になる。

 鳩山内閣が短命で終わったのは、日本の既得権勢力が猛反撃を展開したからだ。
 既得権勢力は実は民主党内に潜んでいた。
 民主党内悪徳10人衆が鳩山政権を内側から破壊した。
 渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、枝野幸男、安住淳、玄葉光一郎の面々だ。
 彼らは鳩山由紀夫総理にではなく横田政府に忠誠を誓った。

 普天間の県外・国外移設を阻止し、
 官僚天下り根絶を阻止し、
 企業団体献金全面禁止を阻止し、
 消費税増税阻止を阻止した。

 鳩山内閣総辞職後に樹立された菅直人内閣は既得権勢力の傀儡政権に堕落した。
 野田佳彦内閣も同じ。
 このために2009年9月の新政権樹立の偉業に泥が塗られた。

 もう一度、一からやり直すことが必要。
米国からの自立
官僚支配構造の打破
大企業支配の政治構造の打破
 の3つが必要だ。
 現在の立憲民主党は対米隷属、官僚支配容認、大企業の政治支配容認に転じてしまっている。
 自公勢力と相違がない。
 維新、国民民主が隠れ与党勢力であることは明白。
 本当の革新勢力が劣勢に追い込まれている。
 しかし、主権者多数が日本政治の刷新を求めている。
 この勢力が現実逃避してしまっていることが問題だ。
 日本政治刷新など実現しないと諦めて、政治の表舞台から姿を消してしまっている。

 この隠れた勢力を政治の表舞台に引き出さなければならない。
 そのための起爆装置が必要だ。
 れいわ新選組が創設されたが、主権者多数を政治の表舞台に引き出すパワーを発揮し得ていない。
 大同団結=連帯の力によって、日本の主権者多数を政治の表舞台に引き出すことが求められている。

 直ちに行動を起こさなければ次の衆院総選挙に間に合わない。


※続きは12月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「次期総選挙へ直ちに行動を」で。


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