2024年12月22日( 日 )

立憲民主に迫る党消滅の足音

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本政治再生のためには、守旧勢力と化した立憲民主党の回答は不可避」と訴えた1月11日付の記事を紹介する。

 岸田首相がアピールする「聞く力」。その実態は「官僚機構の命令を聞く力」。官僚機構は日本の国体を知悉(ちしつ)している。

 日本を実効支配しているのは米国の支配者。米国の支配者の意向に沿ってシナリオを整備している。岸田首相は米国支配下にある日本官僚機構の命令に服従している。

 岸田首相の「聞く力」は「大きな声を聞く力」である。岸田首相は口をパクパクして官僚機構が用意した原稿を読むだけ。日本のReaderである。岸田首相は売りを「読む力」に変更するのが適正だ。

 その岸田首相が、官僚機構が用意した3つの基本政策を掲げた。
・軍備拡大
・原発推進
・増税推進
だ。

 国の根幹にかかわる重大事項。国会での論戦を通じて、すべてを葬り去る必要がある。しかし、その国会が機能不全に陥っている。民意を反映するはずの野党が民意と乖離している。その国会議員を選出したのは主権者であるから主権者も反省する必要はある。

 立憲民主党の右旋回は2021年10月の衆院総選挙の時点ですでに明らかになっていた。この衆院選で立憲民主党は惨敗したが、惨敗の程度を強めるべきだった。

 枝野幸男代表は引責辞任した。後任代表に就任したのは泉健太氏。泉健太氏は主権者が否定した右旋回を加速した。結果として2022年7月参院選でさらなる大惨敗を喫した。泉健太氏は引責辞任する必要があった。

 ところが、泉氏は代表に居座り、右旋回を加速し続けている。1月8日のNHK日曜討論で泉健太氏は、「歳出改革、国会議員の身を切る改革にまず優先して取り組むという意味で、(維新と)大きく連携できるのではないか」と発言した。

 維新は言わずと知れた自公補完勢力。規制撤廃・民営化・市場原理を基軸にする新自由主義推進勢力だ。2001年に発足した小泉純一郎政権が掲げた新自由主義政策路線を是とする勢力。

 2009年に鳩山由紀夫内閣が誕生した基本背景は、小泉政権以来の新自由主義経済政策路線が国民を不幸にすることに国民が気付いたこと。その新自由主義路線を追求するのが維新勢力である。民営化・規制緩和と表現すると聞こえが良いが、実態は生活必需品・独占形態の公的事業利権を民間が収奪することに過ぎない。

 規制撤廃・民営化の名の下に新しい利権政治が展開されてきた。国家戦略特区は首相の縁故者に獣医学部新設の利益を供与するものであったし、経済特区ではパソナ、ローソン、オリックスなどの私企業が制度変更で特別の利益供与を受けてきた。

重要な政策論点は
・平和主義の堅持
・原発廃止路線の確定
・弱肉強食から共生への経済政策路線転換
である。

 維新はこれらの基本政策において自公政権の側に位置する守旧勢力である。

 2021年衆院総選挙以来、立憲民主党が凋落の一途をたどっているのは、立憲民主党が改革路線ではなく、自公にすり寄る守旧路線を鮮明にしてきたからだ。選挙によって主権者に否定されたにもかかわらず、泉健太氏はポストにしがみつき、主権者から否定された政策路線を押し通そうとしている。このまま進めば、次の選挙で立憲民主党は消滅するのではないか。

 立憲民主党内に同党の守旧化に反対する勢力が存在するなら、直ちに党を分解すべきだ。真の改革中核野党が不在になっていることが現下政治危機の本質である。

 もともと民主党が改革勢力と守旧勢力の混合物だった。2009年9月に樹立された鳩山由紀夫内閣は明確な改革路線を提示した。しかし、民主党内に守旧勢力が潜んでいた。

 私は民主党悪徳10人衆と呼んだ。渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、枝野幸男、安住淳、玄葉光一郎の各氏。鳩山首相は対米隷属、官僚の政治支配、大資本の政治支配の構造を打破しようとした。しかし、民主党内に巣喰う守旧勢力がこの路線を潰した。このために鳩山内閣はわずか8カ月で消滅してしまった。

 後継の菅直人内閣、野田佳彦内閣は日本支配者=米国の傀儡政権だった。この傀儡政権が既定路線に従って2012年12月に大政を安倍自民に奉還した。

 日本政治再生のカギを握るのは旧民主党の解体。旧民主党を改革勢力と守旧勢力に分離・分割する。これが実現して初めて、改革勢力の結集=政策連合構築が実現する。旧民主党=旧民進党が立憲民主党と国民民主党に分離して、この要請がようやく実現するかに思われた。ところが、改革勢力としての性格を純化することを求められた立憲民主党が完全に守旧勢力化した。

※続きは1月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「立憲民主に迫る党消滅の足音」で。


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