2024年11月23日( 土 )

【筑紫野市長選】藤田市長「ひかり輝く筑紫野市」の実現に3期12年の実績

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 任期満了にともなう筑紫野市長選挙は、15日告示、22日投開票が行われる。市長選には現職の藤田陽三氏、前県議の平井一三氏、元筑紫野市議の浜武振一氏の3人が名乗りを上げている。

 ここでは藤田市長の3期12年の実績を振り返るとともに4期目の方針について話を聞いた。 

藤田 陽三 市長
藤田 陽三 市長

    筑紫野市によると、藤田市長は2011年2月1日就任以降、「行財政改革」「産業・雇用をつくる」「生活をまもる」「共助社会づくり」「未来をつくる」を政策の5本柱として取り組んできた。

 主な代表的政策としては、まず「行財政改革」における庁舎建設がある。市民のニーズに応えて、それまで分散していた行政機能を集約するとともに、防災機能を強化した新庁舎を建設した。「地域コミュニティの連携拠点」「安全・安心の防災拠点」「行政サービスの拠点」として市民に活用されている。また、「共助社会づくり」については、コミュニティによるまちづくりを積極的に推進した。市内の7つのコミュニティすべてに活動の拠点をつくり、連携したまちづくりを進めた。22年に開催した市制施行50周年記念事業には各コミュニティ主催の記念事業が88事業実施された。また、移動市長室を過去115回開催。直接市民の声を聴き施策に反映するなど、市民のための、市民に寄り添う施策が行われた。(詳細は以下を参照)

 ──4期目に向けての方針をお聞かせください。

 藤田市長 3期12年間、市長を務めてまいりましたが、道半ばとして感じているものの例として、筑紫野インター線、山口原田線が挙げられます。交通の利便性や安全性の向上に加え、企業誘致にも大きく影響することから、地元期成会とともに県への働きかけを続けて完成を目指してまいります。

 また、庁舎建設、高尾川地下河川の完成など長年の懸案でありましたインフラ整備が完了し、安心して暮らせる「まちの土台」が整ってきたところです。これからはソフト面の充実に、より力を入れていきたいと考えています。

市役所庁舎
市役所庁舎

    50周年事業には多くの市民の方々が参画され、市民の層の厚さ、人材の豊富さを実感しました。「ひかり輝く筑紫野市」は、すなわち「人が輝く筑紫野市」であります。たとえば、農業の振興のためには中小規模の農家や新規就労者への支援など、担い手の育成に力を入れていきます。

 また、少子高齢化は最も力を入れたい課題の1つです。待機児童はずいぶん減少していますが、産み育てる環境の充実を図っていきます。子どもたちがのびのびと夢に向かって努力できる環境も整えていきたいです。そして、地域包括支援システムの確立もあります。地域包括支援センターの人員の充実など、住み慣れたまちで安心して住み続けることができるよう、取り組みを進めてまいります。

 藤田市長3期12年の実績の詳細は以下の通り。

「行財政改革」

□財政健全化

 起債残高については10年度328億円から21年度248億円へと約80億円縮減。基金残高は10年度79億円から21年度143億円へと約64億円の積み増しとなった。費用対効果を意識した事業の実施を徹底するとともに、財政計画に即した規律ある財政運営を行ったことが寄与した。

□職員の人材育成

 市民サービスの基本となる、職員の意識改革にも取り組んだ。職員には折にふれ「公僕ではなく、奉仕者たれ」というメッセージを伝えてきた。毎朝の朝礼の徹底など職員の意識は確実に変わってきた。女性職員の育成のため、福岡県の女性副知事(海老井副知事、大曲副知事)を招いて、年に1度講義を実施。22年は初めて江口副知事を招き男性幹部職員にも講義を実施した。

□庁舎建設

 19年1月4日に開庁した新庁舎は、11年11月の市民アンケートで73%の市民が建替えを希望した結果を受けて建設の運びとなったもの。それまで分散していた窓口を集約、ワンストップサービスを実施し、市民サービスの向上に大いに資するものとなった。

 災害時に拠点として機能するよう、建物の耐震免振の備えはもちろん、庁舎前のふれあい広場を広く取り、災害用トイレなども設置できるようにしている。安心安全のシンボルとして、市民にも親しまれている。

「産業・雇用をつくる」

□地場産業の育成

 11年度に入札制度を改正。地場産業の受注機会を増やすことで育成を図った。

□企業誘致

 これまで阪和興業、小売業大手ダイソー、医療機器商社キシヤなどの物流施設が開業。現在、メープルツリーによる九州最大規模の物流施設やセイカ食品の北部九州拠点が整備されつつある。

 15年に制定した筑紫野市企業立地促進条例に基づく優遇措置や、庁舎敷地内に設けたふるさとハローワークによる企業の人材戦略支援など、誘致を積極的に進めている。

□地産地消の推進

 学校給食における地元農産物の使用拡大を実施。また、15年には地産地消と次世代育成の推進のため「れんげ米夢つくし」を中学生までの児童生徒に無償配布をした。22年には物価高騰対策として子育て世帯を対象に2度のお米券配布も行った。

□都市基盤の整備

 22年12月18日にJR二日市駅西側乗降口が開設。1999年の都市計画道路「次田大門線」の事業認可を受けて以来、JR九州と長年さまざまな検討を重ね、地権者の協力を得て実現に至った。

 現在、天拝公園北側道路の整備も進めており、JR二日市駅から二日市温泉、天拝公園・天拝山などの歴史、自然、街並み、温泉が一体となった風情あるまちづくりに向け、着実に歩を進めている。

「生活をまもる」

□防災減災対策

 2013年3月、全82行政区に自主防災組織を発足し、災害時に、本部(市)からコミュニティ、行政区へと伝達・連携できる体制を整えた。

 また、二日市地区に幾度となく浸水被害をもたらした高尾川について、国・県へ要望を重ねた結果、15年に高尾川床上浸水対策特別緊急事業が国の採択を受け、福岡県事業として実施された。シールドマシン工法による高尾川地下河川築造工事は、非常に難工事であったが、ついに22年5月に完成式を迎えた。20年の暫定運用以降、中心市街地では浸水被害が出ておらず、地域市民から感謝の声が多くあがっている。

□地域包括ケアシステム

 地域の実情や特性を踏まえた生活支援の在り方について、コミュニティごとに地域包括ケアシステムの学習会を開催、研究を進めている。

□新型コロナウイルス感染症対策

 医師会などと連携してワクチン接種をはじめとした感染拡大防止対策を実施。20年の特別定額給付金ではスピーディーな支給を行った。また、コロナで打撃を受けた地域経済に対する市の独自対策として、観光・運送事業者への補助などを行った。

「共助社会づくり」

□コミュニティによるまちづくり

 14年7月に筑紫コミュニティセンター、16年10月に二日市東コミュニティセンターを建設。7つのコミュニティすべてに活動の拠点が完成した。また、14年12月までに7つのコミュニティで運営協議会が発足し「コミュニティによるまちづくり」、地域の課題に住民が主体的に取り組む仕組みが整った。16年には7コミュニティと市の間に「パートナーシップ協定」を結び、コミュニティと市が対等な立場で連携を深めながらまちづくりを進めている。

□周年事業

 12年に市制施行40周年記念事業、22年、市制施行50周年記念事業を行った。近隣市でも周年事業が行われているが、本市の特徴は各コミュニティ主催の記念事業が合計で88事業も行われるなど、市民総がかりで祝うかたちとなった。先述のコミュニティによるまちづくりの成果である。

□移動市長室

 「現場主義」「市民目線」「誠心誠意」を基本姿勢とするなかで、直接市民の声を聴く大事な機会として就任以来「移動市長室」を行っている。ここ数年はコロナ禍で開催できないこともあったが、通算で115回開催。さまざまな分野で活動している市民の声を聴き、市政の課題や成果を実感、施策に反映している。

「未来をつくる」

□待機児童対策

 就任以来、認可保育所を2園新設。既存の保育所についても改築などにより、合計で598人の定員増を行った。入所希望が増えるなか、待機児童が減少している。保育士の家賃補助などの待遇改善を行い、保育環境の向上による保育士確保にも努めている。

□こども医療費

 子育て世代の経済的負担を軽減するため、福岡県の制度では所得制限を設けている子ども医療費の助成について、市単位での助成を実施した。対象年齢についても順次拡大し、21年からは中学生までの入院・通院医療費を助成の対象としている。

□教育環境の充実

 14年度に全小中学校の普通教室にエアコンを整備。22度までに全小中学校のトイレを洋式化し、学ぶ環境をより快適に整備した。また、同年、共同調理場の大規模改修を行い、9,000食の安心・安全でおいしい給食を提供している。

□市街地の整備

 22年4月に都市計画道路筑紫原田線が完成し、筑紫駅前西口土地区画整理事業が概ね完成した。交通の利便性も高まり、新しいまちが整いつつある。

□公共交通

 19年1月の庁舎の完成とあわせ、コミュニティバスちくし号、地域コミュニティで運行を担う御笠自治会バスの運行を開始。それまで運用していたカミーリヤバスと連結することで公共交通網が整った。

【内山 義之】

法人名

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