腸内細菌に再び注目が集まる(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏腸内環境の改善には乳酸菌がお勧め
乳酸菌とは、糖類を分解して乳酸をつくる細菌の総称である。乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制する代表的な細菌である。この乳酸菌が、加齢とともに減少していることもわかってきた。幼児のときには100億個近くの乳酸菌が腸内に存在しているが、50代になると1億個くらいに減ってしまうのだという。
乳酸菌に関する研究も進んでいる。乳酸菌は菌の種類も多く、人によって必要としている乳酸菌が違うことも判明した。韓国では、19種類の乳酸菌株は健康に有効だとして食品医薬品安全処(MFDS)に登録されている。
乳酸菌だけでなく、麹菌、酵母菌などに対する研究も進んでいる。「プロバイオティクス」という用語をよく耳にするようになったが、プロバイオティクスとは、ビフィズス菌や乳酸菌などのように、人の腸内の善玉菌を増やす役割をする乳酸菌を指す。「プロバイオティクス」とは、食物繊維やオリゴ糖など、有用菌の“エサ”となるものをいう。それにこの2つを同時に組み合わせたものを「シンバイオティクス」という。生きた有用菌と、有用菌の栄養源を同時に摂取することで、腸内環境がより効果的に整い、健康増進にもっと役に立つからだ。
「腸内にはすでに100兆の細菌があるのに乳酸菌を食べて何か効果があるのか」と疑問に思う人もいる。乳酸菌が腸に住み着いたら、有機酸や抗生物質を生成し、腸内の酸性度を下げることになる。そうなると、腸内の悪玉菌が死滅し、腸内環境が改善されることになる。発酵食品などを中心に腸に良い食べ物を摂取するように気をつかうべきだろう。
世界初の酵母を発見
私たちの生命活動は、乳酸菌などのような目に見えない微生物と深く関わっている。味噌、醤油、ワイン、チーズ、納豆などの食品は、微生物の発酵という働きによってできた産物である。韓国のある中小企業A社の代表は、酵母の世界にはまって、独学で20年以上研究を続けた結果、世界初の酵母を発見し、韓国の厚生省に新素材として特許登録をしている。
酵素を産生する機能をもっている酵母だが、その働きの具体的な例を挙げてみよう。A社の酵母を含んだパウダーを小麦粉に混ぜてこねると、酵母が働きグルテンの分解を行う。小麦粉にはグルテンが約12~14%含まれている。グルテンの働きで、もちもちした食感が出て、味がよくなるというメリットがある。ところが、グルテンに対しては過敏な人も一定数おり、消化できずアレルギー反応を起こしてしまう人がいるのも事実だ。
A社のパウダーを用いることで、乳酸菌のたっぷり入ったパンに仕上がり、味もよくなると人気を呼んでいる。乳酸菌は種類によって異なるものの、60度以上の温度では死滅するものが多いが、A社の酵母菌は150度くらいの温度に耐えられ、強酸性、強アルカリ性の環境でも耐えられるという特徴をもつという。常温で菌を眠らせておき、必要な時に菌が目を覚ますような技術も保有している。製パン会社など小麦粉グルテンのアレルギーに困っている会社にとっては朗報である。A社は今年、日本に進出して、ビジネスを展開する予定という。
(了)
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