2024年12月23日( 月 )

本業で苦戦、朝日新聞 DX推進に活路

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発行部数は軒並み減少

朝日新聞社東京本社    苦境に立たされていると言われて久しい新聞業界。(一社)日本新聞協会の「新聞の発行部数と世帯数の推移」によると、2022年の新聞の発行部数は約3,080万部、2000年の5,370万部に比べ、およそ4割も減少している。

 (一社)日本ABC協会発表の「22年上半期平均部数」で新聞社別にみると、朝日新聞の発行部数が約430万部(前年同期比9.5%減)、読売新聞が約686万部(同4.3%減)、毎日新聞が約193万部(同3.9%減)、産経新聞が約102万部(同14.9%減)、日本経済新聞が約175万部(同7.1%減)と全国紙は軒並み部数減少に歯止めがかからない状況で、それは地方紙においても同様だ。

 なお、前年同期比でプラスだったのは、「The Japan News」(同4.6%増)と「読売KODOMO新聞」(同1.4%増)の2紙のみ。

減収減益、朝日新聞の中間決算

 1879年創刊、発行部数国内第2位、日本新聞協会賞を多数受賞するなど、長年「新聞業界の雄」として君臨してきた朝日新聞の23年3月期中間連結決算は、売上高1,309億2,500万円(前年同期比0.4%減)、営業利益20億6,600万円(同33.8%減)、経常利益58億5,400万円(同13.3%減)、純利益10億1,000万円(同79.7%減)の減収減益だった。

 朝日新聞社は22年9月1日から11月30日までを募集期間とした希望退職制度を実施したため、23年3月期中間連結決算に今後の発生が見込まれる関連費用を特別損失として計上。募集期間が終了し、損失額が増える見込みとなったため当初発表の中間決算について後日、一部を修正した。修正にともない純利益は15億5,500万円から10億1,000万円となっている。

ジャーナリズムを「技術で解放」

 発行部数の減少など、本業において苦戦を強いられている朝日新聞は昨年9月、新たに社外CTO(最高技術責任者)として、(株)ミクシィの執行役員などを務めた広木大地氏を招聘した。CTO就任にあたり広木氏は「デジタルテクノロジーはあくまで手段。ジャーナリズムこそが朝日の核心的な価値です。紙面に制約されていたジャーナリズムを技術によって解放し、新しい時代に向けて再定義することが私の目標です」とコメント。また、朝日新聞社は「事業全般のデジタルトランスフォーメーション(DX)を広木氏とともに加速させる」としている。

 積極的なDX推進が新規購読者の獲得へとつながっていくのか。朝日新聞の今後に注目していきたい。

【新貝 竜也】

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