水蒸気による発電を台湾で開始 エネルギー事業で世界に貢献する
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フィリアウェルスエンターテイメント(株)
次世代をにらみセキュリティ、ゲーミングソフトウェア開発および検証ならびにコンサルティング事業などを手がけているフィリアウェルスエンターテイメント(株)。一貫して世界を市場として挑戦を続けている同社が現在とくに力を入れている事業の1つが新環境エネルギー事業。再生可能エネルギーの導入が進むなか、同社は地熱・水蒸気を用いた発電システムを引っ提げて、新たな電力サービスの事業者として、市場に参入しようとしている。同システムや台湾、モンゴル、インドネシアにおける導入について話を聞いた。
水蒸気発電により台湾で電力供給を開始
経済・社会の発展にともない、世界中でエネルギーの消費量が増加している。一方、現在エネルギー源の主力となっている化石燃料には埋蔵量の面で限界があり、将来の持続的な使用に不安を抱える。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は世界的なエネルギー価格の高騰を招き、日本でも電気料金が値上がりした。東日本大震災以降、構造的な電源不足が続くなかでのエネルギー供給不安を受け、政府は7年ぶりに国民へ向けて節電要請を行った。
このようなエネルギーを取り巻く差し迫った課題について、フィリアウェルスエンターテイメント(株)代表の渡邉輝明氏は、小型の発電機を導入していくことで解決していくことができると自信を示す。
同社は、台湾開発パートナー企業と共同で、3月から台湾の唯一の公営電力会社である台湾電力公司に電力の供給を開始する予定。台湾では、まず北部の温泉地域で地熱を利用して、中南部地域では水蒸気を利用して発電を行う。土地は台湾政府が用意する。発電量は3月ごろに1.6MW/1h、9月ごろに10MW/1hとなる計画だ。軌道に乗れば世界各地で発電機を増やしていく予定。
同プロジェクトの発電システムの名称は「ウォータースチームリニア発電機」。これは水とリニアを融合させた最新技術で、同プロジェクトは、企画から6年の歳月により完成した。この技術は世界100各国以上で特許を申請中という。発電の仕組みは地熱あるいは水蒸気を活用するというもの。水さえあれば水蒸気をつくって発電できる。水源は水道水、雨水、井戸水のほか、川、湖などでもよく、海水を淡水化して発電することも可能であり、非常に広範囲の地域で発電を行うことができる。
欧米でもサービス提供へ
同社が台湾にとって海外企業でありながら、電力という市民や企業の日常生活に関わる事業に参入を認められたことからも、その有望さがうかがえる。
同社の「ウォータースチームリニア発電機」は台湾の規格であるVPC(自主的製品認証、台湾経済部標準検験局)を取得済みだ。これは高い効率性と品質性、安全性が台湾の政府部門によって認められたことを示す。また、国際規格→IEC60034-2017も取得済みだ(国際規格とそのレッドラインバージョンを含むIEC 60034-1:2017 RLVとして利用可能になり、IEC 60349などの他のIEC規格の対象となるものを除き、すべての回転する電気機械に適用される)。
渡邉氏は台湾での認証取得にとどまらず、さらに世界的な基準に狙いを定めている。まず、CDM(クリーン開発メカニズム)申請に適した設計・仕様となっている。CDMとは、国連気候変動枠組条約の第3回締約国会議(COP3)において採択された「京都議定書」で規定された市場メカニズムを活用する柔軟措置の1つ。先進国が途上国において支援を行い、温室効果ガス排出量を削減または吸収量を増加する事業を実施し、削減できた排出量の一定量を自国の温室効果ガス排出量の削減分の一部に充当できる制度。渡邉氏によるとこの承認を得るのは容易ではないという。このように環境に配慮した発電システムだ。
渡邉氏は世界を視野に入れつつも、自社のみで電力サービスを広く提供するのは大変であるため各国においてパートナーを募集する。また、欧州、米国でのサービス提供のため、CEマーキングおよびUL規格を申請している。前者はEU全加盟国の基準を満たすものに付けられる基準適合マークであり欧州などで販売するに際し必要となるもの。後者はUnderwriters Laboratories Limited Liability Company(UL LLC、アメリカ保険業者安全試験所)が定めている認証マークで、米国で最も信頼度が高い安全規格だ。
560Lの水で家庭の電力1年分を賄う
今後について、渡邉氏はモンゴル、インドネシアなど3カ国でデモンストレーションを予定しており、残る1カ国はまだ確定していないが、日本も有力な候補の1つという。展示会場には多くの発電機を設置して、その威力を実感してもらいたいと話す。
近日販売予定という家庭用ウォータースチームリニア発電機は一般家庭向け仕様。水蒸気(水)で発電でき、発電量は2.5kW/1h。一般的な家庭であれば、1カ月に46.6L、年間では560Lの水で十分な電力を賄えるという。これで年間365日間、1日24時間いつでも自由に使えるだけの電力を供給できる計算だ。同社はオプションとして蓄電池を併用することも検討している。そうすれば、発電した電力を貯めておくことができる。この発電機の設備には工事が必要となるが、複雑な工事は必要ではなく、基本的に一般家庭でも設置可能という。ほか、工業用発電機は100mw/1hと1,000mw/1hの2種類用意。いかなる給電量にも柔軟に対応できるシステムも構築している。
これまで主要なエネルギーは化石燃料などの資源であり、日本は資源に恵まれていないと思われていた。それが身近にある水を利用して発電できるとなれば、状況は大きく変わる。日本発の同社の発電システムが日本の状況を変え、そして世界にも貢献していく未来が待ち遠しい。
【茅野 雅弘】
<COMPANY INFORMATION>
代表:渡邉 輝明所在地:
(本社)東京都中央区日本橋茅場町1-4-2 3F
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(台湾)5F.-4, No. 16, Ln. 609, Sec. 5, Chongxin Rd.、 Sanchong Dist.、 New Taipei City
(インドネシア)Treasury Tower 28th Floor Unit F, SCBD Sudirman, Kav 52-53, Jakarta
(モンゴル)Ikh Huraldai 703, Chinggis Avenue 1, Khan-Uul district, UlaanbaatarTEL:
03-6869-3029(東京)
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