【北九州市長選】新人4人が立候補届け出~政治の内輪の論理だけでいいのか?
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市制60周年の節目の市長選
任期満了にともなう北九州市長選が22日、告示された。いずれも無所属で新人の元国土交通官僚の津森洋介氏(47)(自民、立憲民主、公明、国民民主推薦)、共産党福岡県委員会常任委員・永田浩一氏(57)(共産推薦)、元厚生労働官僚・武内和久氏(51)、広告デザイン会社社長・清水宏晃氏(39)の4人が立候補を届け出た。投開票は2月5日。
北九州市は、1963年2月10日に、門司・小倉・若松・戸畑・八幡というそれぞれ異なる個性をもつ5つの市が対等合併して誕生した。今も福岡市に次ぐ九州第2の都市ではあるが、79年の107万人をピークに人口減少がとまらない。来月、市政施行から60年の節目を迎える。今回の市長選は、福岡市一極集中のなか、北九州市の未来への展望をいかに描くのかが問われることになる。
市長選挙は市民が主役であるはずだが、現職の北橋健治市長からの後継指名を受けている津森氏の活動は推薦を受けた支援団体回りが中心であり、ほかの3人の候補者と比べ街頭で政策を訴えることも少ない。
その3人の動きは次の通り。2019年の福岡県知事選で自民党の全面支援で選挙戦を戦った武内氏は、今回、政党の支援を受けず、街頭での活動を700回以上行うなど、市民との直接対話に力を入れ、保育料の第2子以降の完全無償化などを訴えている。永田氏は、推薦を受ける共産党の支持層を中心に、子どもの医療費、給食費、そして国民健康保険料の無償化などを訴えている。清水氏は、他の3人の候補者と異なり、政党や市議会議員、団体の支援を受けていない。北九州市をIT産業の拠点にすることや、多様性を認める義務教育学校設置などを訴えている。
中止となった菅義偉前首相の演説
津森氏は地元民放局のRKB毎日放送と毎日新聞が16日に主催した公開討論会の収録に欠席した。19日にNPO法人「ドットジェイピー」主催で、北九州市立大学において開催された公開討論会で、候補者4人が初めて顔を合わせたが、津森氏は20分で退席した。津森氏のこうした姿勢には、北橋市長も19日の定例記者会見において苦言を呈した。
国政主要与野党の推薦を受けた津森氏の推薦にあたっても、地元選出の自民党県議が一時出馬の意向を示し、一本化されて(「中尾県議、北九州市長選不出馬~津森氏一本化の経緯」)からも、自民党会派を離脱して、武内氏の応援に回る市議が出るなど、一枚岩とは言い難い。
14日に菅義偉前首相が北九州を訪れ、津森氏の応援演説を行う予定だったが、自民党県連関係者などの反対で中止となった。安倍晋三元首相の国葬以降、発言を以前より活発に行うようになった菅氏が何を発言するのか聞きたい人も多かったはずだ。市民の声よりも政界の内輪の論理で動く日本の政治の縮図がそこにある。しかし、以前と違いSNSで誰もが意見や情報を発信できる。統一地方選挙の前哨戦となる北九州市長選の趨勢次第で、国政への波及となり、やがて行われる解散総選挙で自民党の一強体制をも揺るがすことになるのではないか。
【近藤 将勝】
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