「人づくり、まちづくり、国づくり」 2023年に向けた方向性(前)
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(一社)福岡県中小企業経営者協会連合会
会長 小林 専司 氏(一社)福岡県中小企業経営者協会連合会(以下、中経協)は、県内の福岡、北九州、筑後、筑豊の4つの中小企業経営者協会をまとめている。4つの中経協の会員企業の交流促進・企業価値向上に寄与し、企業のみならずその地域、ひいては国が発展していくために活動を続けている。今回は中経協の2023年における方針や現在の若者について語ってもらった。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
「人づくり」に尽力
──今年はどのような方針で活動を進めていきますか。
小林専司氏(以下、小林) 私は中経協全体の方向性を決める役割を担っており、その旗振りをしていくなかで、2023年は非常に重要であると位置づけています。その大きな理由の1つは、中経協が24年に50周年を迎えるということにあります。そこに向けて、まず実行委員会を立ち上げ、中小企業団体として今後、地域社会においてどのような貢献をはたすことを目指すのかについて、議論を深めるとともに実行に向けた準備を行います。具体的に、とくに力を入れていこうと考えているのは「地域人材の育成」であり、そのために多くの取り組みやイベントを企画しています。
現在、中経協には計約1,300社が加盟しています。「数は力」であり、みなで協力し合う必要があるでしょう。人を育て、社会に送り出すためには、組織をより良くしていかなければなりません。そうした努力を怠れば、派閥ができたり、内紛が起きたりしてしまいます。あらゆる組織を総括・統合するためにできた団体として、所属する企業が全体で手を取り合って、目標を達成できるように尽力していきます。
──23年には具体的にどのようなことを企画していますか。
小林 今年も高校生向けグローバルキャンプ「福岡未来創造キャンプ OnYourMark!」を行いますが、例年よりコンテンツをさらに充実させていきます。このイベントは次世代を担うリーダーを育てることを目的としたもので、世界トップクラスの大学の学生と高校生が交流するという内容です。今年は3月20日(月)から25日(土)の5泊6日で、オンラインではなくリアルに招聘して開催する予定です。
さらに、夏以降はキャンプ参加者75名のなかから選抜し、アメリカの西海岸へ出向き、各企業や大学生と連携で学ぶ特別コースを開設したいと思っています。海外留学を身近に感じてもらい、新たに学び挑戦する学生を増やしたいというのが狙いです。現在、同イベントに関しては、医師でバイオベンチャー創業の経験なども有するスタンフォード大学の西村俊彦先生の力を借りて検討中です。今年度も、おかげさまで多数の錚々たる自治体や教育委員会などから後援および協賛をいただいています。
そのほかにも、日本における教育の在り方や「人づくり」について、福岡の地場中小企業の経営者や大手企業の九州トップ、地元の大学責任者、国の九州出先機関のトップ、その他教育機関有識者などのメンバーで議論する「産学官ダイアログ」も開催します。今年度は「グローバル・ソーシャル・デジタル」をキーワードに議論を深めていきたいです。
また全体の方針として「横連携による活動の拡充」を掲げています。福岡を起点としながらも、活動の範囲を福岡に限定せずに、九州全体において貢献していきたいと思っています。中経協が運営を受託している九州経済フォーラム、九州インターンシップ推進協議会とのさらなる連携を進めて、九州全体が経済、文化、教育と多方面から活性化することに寄与できればと思います。
若者といかに付き合っていくか
──若者の背中をどのように押していこうと思いますか。
小林 私は今の若者に、まち、ひいては国を背負えるくらいに成長してほしいと思っています。たとえば、私にとって身近な存在として、当社(福岡ロジテム(株))の若手社員がいます。22年度は新卒で30人以上入社しました。最初のうちは、退職者が多く出ると思っていましたが、実際に辞めたのは今のところ2人だけです。しかも、辞めずに残った人たちは多くのことを学び、成長していっています。私は若い人たちの頑張る姿に対し、基本的にこちらから口出しすることはありません。いかんせん年齢差もありますから、若い世代と向かい合うのは難しいと感じていますしね。それでも、自力で前に進む人たちに、背中を押すようなことがしたい。そう思って、「若者の教育」には心血を注いできましたし、今後もそうするつもりです。
──「若者の教育」は重要なテーマですね。
小林 中経協に属している数多の企業は、いわゆる中堅の会社であり、上場するような会社ではありません。そのため、少しでも従業員には利益を上げてもらわなければならないという前提があります。そして、従業員がしっかり働いてくれたら、それが直接企業のために、ひいては日本のためになるのです。そのためには、なによりも「教育」が必要となるでしょう。これは中経協が目標としている「人づくり、まちづくり、国づくり」という目標と重なります。目標達成には個々人にも努力が求められると思います。
(つづく)
【文・構成:吉村 直紘】
<ASSOCIATION INFORMATION>
会 長:小林 専司
所在地:福岡市中央区天神1-4-2
設 立:2015年10月(協会設立:1974年)
TEL:092-753-8877
URL:https://www.chukeikyo.com
<プロフィール>
小林 専司(こばやし・せんじ)
2005年10月に福岡ロジテム(株)を設立、代表取締役社長就任。会社経営とともに、ボランティア活動にも精力的に参加。福岡県中小企業経営者協会連合会会長を務め、福岡経済を代表する経営者の1人として活躍している。関連記事
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